今回は、FPGA FMステレオチューナの光デジタル出力をサウンドカードの光入力に接続し、WaveSpectraで特性を観測します。チューナの入力ソースとしてはFM放送波、信号発生器、自作FMトランスミッタの3つとしました。なお、使用したFPGAソースはR1.3版です。
FM放送波
NHK-FMの時報です。放送局の電波を直接ではなく、CATVで83.5MHzに変換された信号を受信しました。チューナー内の高周波バンドパスフィルタは、この83.5MHzに調整しています。以後、信号発生器、自作FMトランスミッタも同じ周波数に合わせています。
時報での歪み率THDは約0.1%ですが、THD+Nは約2%と奮いません。つぎに無音時のデータでは、スペクトルの最大値は2.9Hzで-50dBとなっています。これは、放送波あるいはFM受信機の周波数ズレによりAFC追従範囲を越えDC領域のリークが出ているものと推定しています。このためTHD+Nが悪化しますが、アナログ出力ではDCはカットされるのでこの問題はないはずです。
次にS/Nですが、無音時のレベルがDCリーク問題でよくわかりませんので、カーソルでピークを探すと約-86dBです。通常は全帯域のRMS値で読みますが、この例のスペクトラムなら数dB悪い結果となるでしょうか。 そして、100%変調時のレベルが後述するFMトランスミッタの例より-7dBであるとすれば、差し引きでS/Nは79dB。実効上70dB程度を確保できていそうです。
時報
無音時
信号発生器
HP8657Aを使いました。ステレオSGではないので単なるモノラル受信でのデータです。モノラルですので変調度100%変調(周波数偏移±75kHz)としています。
2次、3次高調波は、HP8657A内蔵の低周波発振器の特性らしく、外付け低周波発振器を利用すればさらに良くなります。無変調時のRMS値と比較するとS/Nは約94dBです。低い周波数に大きめのノイズがあるのでA特性等の聴覚補正フィルタを併用すれば、みかけのS/Nがよりよく見えそうです。
1kHz 100%変調
無変調
FMトランスミッタ
ステレオSGの代わりに自作FMトランスミッタを使います。チューナあるいはトランスミッタのどちらの特性を測っているのかよくわからなくなりますが、少なくともそれぞれがよりよい性能を持っていることが類推できます。低周波信号源は、FMトランスミッタ内のROMデータを使っており、片チャンネルあたりの変調度は45%変調(周波数偏移±33.75kHz)相当としています。従って、モノラルモードでは90%変調相当のレベルとなっています。
ここで信号発生器でのRMSレベル値と比較すると 0.96dBの差となります。理論値(100%÷90% -> 0.92dB)と概ね一致していました。
さてモノラルモードの特性ですが、THD 0.06%、S/NはRMS値の比較で87dBでした。スペクトルを見るとトランスミッタのノイズ特性に”難あり”ですね。
モノラルモード 1kHz 90%変調
モノラルモード 無変調
ステレオモードの特性ですが、THD 0.004%、S/NはRMS値の比較で79dBでした。THDがモノラル時より良くなっているのは、ステレオパイロット信号が加わったことによるD/AあるいはA/Dコンバータでのディザリング効果の結果でしょうか???何だこりゃって感じです。
ところで、FPGA FMチューナの作者の方は、先日のハムフェアの展示でTHD 0.0015%を叩き出していました。 まだまだ修行が足りません。
ステレオモード 1kHz L:45%, R:45%, パイロット10%変調
ステレオモード 無音
セパレーションは、Lチャンネルのみを45%変調相当レベルとして、L・Rチャンネルのレベルを測定しました。RMS値の差を取ると55.6dB。FMチューナの設計値では70dB程度あることになっていますから、FMトランスミッタのどこかが悪いと言うことになります。
ステレオモード 1kHz L:45%, パイロット10%変調(Lchを観測)
ステレオモード 1kHz L:45%, パイロット10%変調(Rchを観測)
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