2011年3月26日土曜日

中京地区のラジオ局が radiko に参加

昨日25日より radiko に、中京地区のラジオ局が新たに加わりました。
通常は地元局のみを聴取できるというサービスですが、現在は東日本大地震への対応としてこの地域制限が一時的に解除されています。ご覧のように関東・関西・中京地区のラジオ局をワンクリックで選んで聴くことができるようになっていて、BCL世代の人間からすると、新鮮に感じます。さらに、4月中には関東・関西・北海道・福岡地区のラジオも追加されるとのこと。




配信される音質は、AMラジオは高音域まで音抜けがよくまるでFMラジオを聴いているよう。ただ時折高音域のシャラシャラといった感じのデータ圧縮ノイズがときどき耳に付きます。欲を言えば切りがないですがビットレートがHE-AAC 48kHzとのことで、AMラジオの受信環境を考えると必要十分な音質と言えるのではないでしょうか。また、音声圧縮とバッファリングのためか3秒くらい?の遅延があります。

一方、NHKは震災直後に特別措置として独自のライブストリーミング放送を行っていましたが現在は終了し、10月をめどに試行実施することになっています。

ラジオの受信環境は年々悪化しています。特に鉄筋コンクリート造の建物内ではラジオ受信が困難なほか、パソコンなどデジタル家電のノイズが追い打ちを掛けています。radikoのような新たな聴取手段によりラジオの認知度が上がれば、番組コンテンツがさらに良くなっていくのではと期待しています。

2011年3月20日日曜日

A/D D/Aコンバータの有効ビット数 ENOB

某社の技術セミナーに参加し、FPGAのI/Oドライバを通すだけでジッタが数10ps増加するという話を耳にしました。これがどんなFPGAのことを言っているのかわかりませんが、例示されていたハイスピードロジックと比較して1~2桁悪いとされていました。
ジッタは位相雑音はもちろん、データコンバータの有効ビット数に影響しオーディオ帯域ならともかく高周波領域ではかなりのインパクトを持ちます。これまでの設計では、基準クロックをFPGAで分配して周辺デバイスに接続していましたので、FMトランスミッタのように位相雑音が気になるアプリケーションでは適切とは言えません。気になって先達の回路を読み返してみると、コンバータのクロックはFPGAを通さずに基準クロックをクロックドライバで分配したものを供給しています。
そんなこんなで少し勉強してみました。


A/Dコンバータの理論S/N比(SNR)
フルスケール正弦波(RMS値)と量子化誤差(RMS値)の比。

まず、フルスケール正弦波のRMS値はFS/(2√2)となります。

フルスケール正弦波
 

次に量子化誤差(量子化雑音)について考えます。入力信号の変化に伴い量子化信号はLSB毎に階段状の波形となることから、量子化誤差(入力信号との差)はのごぎり波状となります。コンバータの分解能がNビットのとき、のこぎり波のRMS値はLSB/√12よりFS/(2^N × √12)です。


 入力信号と量子化信号


 量子化誤差


以上より、SNRは次の通り。上の式の単位は実数、下はデシベルです。1.76dBの根拠がわかってすっきりしました。

SNRの理論式


ビット数毎のSNR理論値は下表の通りです。16ビットで98dB、24ビットなら146dBまで及ぶというおなじみの表です。



有効ビット数(ENOB; Effective Number Of Bits)
現実のA/DコンバータのSNRは、種々の理由により理論値より必ず下回ります。実測したSNRから有効なビット数を求める事ができます。ENOBは一般的に入力アナログ信号の周波数が高くなるほど悪化します。


アパーチャ・ジッタ
サンプリングクロックのジッタにより、サンプリング点に時間的にばらつきがあると結果的に歪んだ波形としてA/D変換されてしまいSNRも悪くなります。アパーチャ・ジッタ ta 、入力周波数 fin によるSNRは次の通りです。



上のグラフによると100MHzで14bit精度が必要なときの所要ジッタは約0.1ps。オーディオ用途なら50kHzで16bitなら50psくらいでしょうか。これはジッタのみに着目していますから、振幅誤差などのSNRを別途考慮する必要があり、少なくともさらに数分の1程度の余裕が必要ですね。
FMトランスミッタのDDSなら直接FM帯を生成するのではなく、ジッタの余裕がある低い周波数からアップコンすることも考慮したほうが良さそうです。このあたり、とっても難しいのでまずは実機で確認しながら必要に応じて試行錯誤するつもりです。それにENOB = SFDRでもありませんしね。


参考文献
アナログ・デバイセズ - AN-313 高分解能D/Aコンバータを最大限に活用する方法

エー・ディー・エム - マッチィ先生と生徒2人の楽しい勉強会12 LCフィルタとA/D変換の話

FIDELIX - アナログ約60dB、デジタル90dB以上というDレンジは比較不可
日本テキサス・インスツルメンツ - ADコンバータにおけるビットばらつきの推定方法

2011年3月19日土曜日

新潟精密 NS73M FMトランスミッタ

FMトランスミッタモジュール NS73Mを試してみることにしました。メーカの新潟精密は、経営悪化に伴う民事再生手続きの中で同製品の製造を中止してしまったようですが、秋月電子ではまだ購入可能です。組み立てキットもありますが、趣味なのであえて基板から作ってみます。
 
ところで、韓国Young Tech Systemが類似品YTS-5003Tを製造しています。会社概要には、新潟精密と技術提携しているとありますから同じ技術が使われているかもしれません。
 


 NS73Mの内部ブロック図によると、音声信号はまずA/D変換され、プリエンファシス・ステレオ変調・FM変調はデジタル処理されています。デジタル処理されたFM変調波は304kHzのIF信号としてD/A変換され、その後のIQミキサで所定の周波数までアップコンされるというものです。
送信周波数は87.5~108MHzと海外仕様ですから国内では87.5~89.9MHzでしか使えません。音声特性は、歪率0.4%(モノラル/ステレオ)、SN比55dB(モノラル/ステレオ)、ステレオセパレーション35dB、周波数特性-3~+1.5dB(50~15kHz)とポータブル機器への組み込み用途としては申し分のない特性です。
 
   NS73Mの内部ブロック図(仕様書より)




  NS73Mは、I2Cまたは3線シリアルインターフェースで、送信周波数や送信出力レベルの変更はもちろん、プリエンファシス有無、ミュート操作、入力レベルの変更、モノラル/ステレオ切替等が可能です。下図に製作予定の回路図を示します。

 製作予定の回路図

2011年3月13日日曜日

ZEROPLUS ロジックアナライザ LAP-C16032

少し前に話題になった台湾ZEROPLUS社の格安ロジックアナライザを購入しました。秋月電子で販売している一番安いモデルで、16ch 100Msps メモリ32kb/chのもの。メモリ容量が少ないのが気になりますが、価格と何より30個のプロトコル無料キャンペーンに惹かれました。このモデルは保守品(Aマーク)扱いとなっていますから在庫限りかもしれません。




ICクリップ(グラバ)は、2個(写真オレンジ色のもの)が標準添付されています。別途、グラバ単体も販売されていますが、買い忘れてしまいました。幸い手持ちがそのまま使えました。



標準対応のプロトコルは、UART、I2C、SPI、7-Segment LEDです。
さらに無料で追加できるプロトコルは次の通り。(30個まで)
※検索で調べました。間違いもあるかもしれません。

1-WIREMaxim低速バスインターフェース
3-WIRE: SPIの類似インターフェース?
AC97: インテルが提唱したPCのサウンドデバイス規格
CAN 2.0B: 車載LANの拡張規格
CCIR656: デジタル映像伝送の規格、MPEGエンコーダチップの入力とか
DALI: Digital Addressable Lighting Interface、照明コントロールの規格
DMX512: DALIと同様な照明コントロール規格
DSA: フィリップスのCDプレーヤ内の制御インターフェース?
FLEXRAY 2.1A: 車載LAN
HDQ: 電源管理用?
IIC(EEPROM 24L): EEPROM 24Lシリーズ
IIS: デジタルオーディオのフォーマット
IRDA: 赤外線光データ通信
ISO 7816 UART: 接触型ICカードの規格
JTAG 2.0: JTAG
LCD12864: グラフィック液晶 128×64ドット用?もしくはLCD型番のこと?
LCD1602: キャラクタ液晶16文字×2行、HD44780互換
LIN2.1車載LAN
LPT: プリンタ用パラレルポートインターフェース
MANCHESTER: Manchester Encoding。イーサネットやFeliCaで使われる。
MICROWIRE: EEPROMなどで使われるシリアルバスインターフェース
MII: Media Independent Interface?NIC内部のインターフェース?
MILLER: Miller Encoding
MOD: ???
MODIFIED SPI: SPIの知り合い?
NEC PD6122: NECフォーマットの赤外線リモコン
OPENTHERM2.2: セントラルヒーティングシステム
PCM: デジタルオーディオ
PECI: Platform Environment Control Interface。CPUとチップセット間のインターフェース。
PM1.1: ???
PS/2: マウスやキーボードのインターフェース
PSB: ???
S/PDIF: デジタルオーディオ
SAMSUNG K9(NAND Flash): SamsungのNANDフラッシュメモリ
SDQ: TIのシリアル通信規格
SIGNIA6210: ???
SLE4442: スマートメモリカード
SM2.0: ???
SPI PLUS: SPIの知り合い?
SSI: Simple Sensor InterfaceまたはSynchronous Serial Interface
ST: デジタルオーディオ
ST7669: カラードットマトリクスLCDドライバ
UNI/O: Microchipの非同期シリアルバス
USB 1.1: USB
WIEGAND: ICカード