2009年12月31日木曜日

2009年を振り返る

 2009年は、公私ともどもいろいろあった1年でしたが、こと電子工作の趣味に関してはこのブログを書き始めたことが一番の出来事です。


デジタルFMトランスミッタ

  • プリント基板エディタのMinimal Board Editorを使い表面実装部品を多用した基板を製作。
  • Verilog HDLを使ったFPGA開発を体験。初歩的なところでブロッキング代入とノンブロッキング代入の違いを誤解していてかなり遠回りした印象。でもなんとか乗り越えられました。
  • 食わず嫌いのシミュレーションを体験。テストベンチを書いてみた。
  • ISEのCoreGeneratorで、IPコアを利用してDirect Digital SynthesizerやFIRデジタルフィルタをFPGAで実現。
  • 移動平均フィルタでプリエンファシスを設計、WaveSpectraで周波数特性を測定。
  • ステレオ変調処理もVerilogで書いて、FMラジオでステレオ受信できるところまで確認。
  • FM変調の品質にオシレータの位相雑音が影響していることを確認。とくにFPGAのDCMが位相雑音に悪影響を与えていることがわかった。

FPGA FMステレオチューナ

  • ディジタルデザインテクノロジ誌の製作記事そのままで製作に成功。そしてFM放送って、こんなに音が良かったのかと音質の良さに感動。
  • 基板をケースに収納。ケース加工図をCADで検討。シール紙にプリントアウトして、穴あけ加工位置ずれを防ぐ工夫をした。パネルデザインはCorelDrawを使用。シール紙にプリントアウトして貼り付けると、それなりに見栄えがするようになった。
  • 製作記事そのままでは、受信周波数固定なのでディップスイッチで変更できるようVHDLを少し書き換えてみた。その後、選局用の操作パネルをAVR(ATMEGA64)を使って製作。ファームはC言語で開発。
  • トロイダルトランスを採用した電源を製作。参考書を見ながらまじめに設計。が、熱設計が甘かったみたいで放熱板が熱い!
  • 「クイックポジ感光基板」で基板製作。試行錯誤の結果、失敗する気がしなくなった。
  • なひたふ電子のラティスXP2用USB書き込み器を製作。プリンターポート付きPCから卒業した。
地デジ測定器を動かす
  • ジャンクで購入した地デジ測定器を使って地デジを受信して、チャンネルを変えて再変調した信号をテレビ表示できた。やっていることは単純ですが、ジャンクを動作させられたことが単純に嬉しかった。

 今年を振り返ると「進んでいないなぁー」という印象しか残っていないのですが、ブログを見返してみるとわずか1年でいろいろとやっていたみたいです。
 さて、来年の目標です。


来年の目標

  • 作りかけのルビジウム発振器(の分配器)を製作
  • FPGA FMステレオチューナの操作パネルを完成させる。
  • デジタルFMトランスミッタの特性の向上。音声S/Nの改善と帯域外スプリアスの改善。
  • JimComさんのDDCを製作して"ラジオ"を作りたい。
  • ヘッドホンアンプICのTPA6120とデジタルボリュームPGA2311を使ったUSBオーディオ。
  • SiliconLabのSi4710を使って、USB接続のFMトランスミッタを作ってみる。
  • 高圧発生器の自作に失敗して断念しているニキシー管時計を作ってみたい。

  •  思いつくものだけでも結構ありますね。これだけで1年かかりそうです。
    まあ趣味ですからコストも納期も考える必要がないので楽しんで進めていきます。

     最後になりましたが、2009年、ブログをご覧頂きありがとうございました。そして、来年もよろしくお願いいたします。

    2009年12月23日水曜日

    FMステレオチューナ: 操作表示部(3)

     気分屋に見えるラティスのispLEVERの振る舞いと付き合いながら、選局ができるところまでようやくたどり着きました。ボタンを押すと、放送局が切り替わる。当たり前の動作ですが苦労して作り上げてきたので嬉しくなります。


    操作表示部を仮組み


     操作表示部の基板からFPGAチューナに基板に渡す選局データは現状で次のようになっていますす。(変更する予定です)
     これらの配線は、本来ならマイコンのシリアル対応ポートに接続しなくてはいけないのですが、設計時にはそういったことを考えてなくて汎用ポートに適当に繋いでしまいました。そのためプログラムがメンドクサイことになってます。やってみて初めてシリアルポートのハードウェアが埋め込まれている理由が理解できました。

    シリアル転送タイミング


    上の波形をAVRで再現



    ロジアナで波形を観測



    ロジアナで観測


     Cで適当に組んだプログラムなので、意図したタイミングとはちょっと違います。でもそれに合わせて受信側でなんとかしましょう。

     最後に課題です。
    • シグナルメータの実装:FPGAチューナ基板のIQ信号から演算結果をドットマトリクスLEDに表示
    • ロータリエンコーダ、プッシュボタンの操作フィーリング改善:チャタリングが取り切れてない
    • プリセットメモリの実装:現状ではプリセット周波数はプログラム中でベタ書きしている
    • 3端子レギュレータの放熱:熱くて触っていられないほど。少し大きめの放熱器を連結するか、銅板でシャーシと連結して改善できないか
    • プリアンプが発振気味:片面基板のせい?銅テープを貼り付けてアースを強化して収まってくれるといいなぁ

    2009年12月9日水曜日

    ルビジウム発振器(2): LPRO-101のマニュアルから

    EFRATOM製(現Symmetricom) LPRO-101

     最近、ヤフオクでも値下がり気味?でしょうか。eBayには今でもたくさん出ていますね。ネット上でLPRO-101のマニュアルも見られます。


    主な仕様
    • 出力周波数、波形: 10MHz 正弦波
    • 出力レベル: 0.55V rms(50Ω負荷、+7.8dBm)
    • 動作温度: -30℃~+70℃(ベースプレート部)
    • 環境磁界: ±2ガウス以下
    • MTBF(平均故障間隔):
        30℃ 320,000hrs/36.5年、40℃ 253,000hrs/28.9年
        50℃ 189,000hrs/21.6年、60℃ 134,000hrs/15.3年


    周波数の微調整
     ルビジウム発振器は2次標準なので経年による誤差補正と1次標準に周波数を合わせるためルビジウムセルに与える磁界調整用"C-field"コイルの電流調整用ポテンショメータと外部制御端子がもうけられています。


    放熱について
     この手の機器は、24時間365日連続稼働が当たり前ですので 放熱が大事としきりに記述があります。ベースプレートの温度を70℃以下とするため、たとえば最大周囲温度50℃の場合、2℃/W以下の放熱器が必要だそうです。 ※50℃+2℃/W×10W=70℃
      連続動作中のラックマウント型ルビジウム発振器を夏場に触ったことがあるのですが、冷却ファンなしで背面に取り付けられた放熱器に触れると熱かった(50℃を越 えるくらい?)覚えがあります。筐体外部の放熱器で50℃以上なら内部では、60℃くらいあるのかも しれません。

     さて、実機に放熱板を付けずに数時間動作させてみたのですが、冬場だと言うこともありますけど熱くはなりますが触れないほどではありません。私の場合、連続動作も考えていないので、ケースのシャーシでの放熱効果を期待することにします。


    出力について
     LPRO-101の出力は正弦波です。マニュアルには、正弦波からTTLレベルへの変換方法について記載がありますが、適切なデバイスを選定しないと位相ノイズが悪化するそうです。ルビジウム発振器を組み込みで使用するときには、注意が必要ですね。測定器側では、かならずしもTTLレベルを要求していないので今回は正弦波のままで行きます。


    正弦波-TTL変換回路の位相ノイズ(LPRO-101マニュアルより)


    メーカおすすめの正弦波-TTL変換回路(74AC04)


    電源について
     電源電圧は+19V~+32Vが許容されており、標準は24Vです。コールドスタート時には、1.7Aほどの電流が流れますがウォームアップ後は、 o℃:14.5W(0.6A)、50℃: 9W(0.375A)となります。
     マニュアルには、電源の品質(スプリアス電流や電圧ノイズ等)により、ルビジウム発振器の出力位相ノイズやスプリアス特性が劣化するので、注意しろと書かれています。


    BITE[Built In Test Equipment]
      内部VCXOの動作状態を示しており、電源投入から3~4分の間はHレベル(4.2~4.8V)となりますが、ルビジウム発振器が原子同期状態 (周波数精度が概ね±5E-8以内)になるとLレベルを示します。所期の精度に達するのは、電源投入から概ね30分後です。
     この端子はシュミットトリガ付きのCMOSロジック(74HCT14等)かFET入力(1MΩ以上)のヒステリシス付きコンパレータで受けることが推奨されています。

    BITE端子の内部回路



    ランプ電圧モニタ
     ルビジウムランプの光出力レベルモニタ端子LAMPVがあります。3V以上であれば正常。

    LAMPV端子の内部回路



    クリスタル電圧モニタ
     VCXO制御電圧のモニタのようです。0.55V~12.6Vが正常。ウォームアップ時(スイープモード)には、0.502~13.3Vの間で変動するそうです。

    XTAL VMON端子の内部回路

    2009年12月5日土曜日

    ルビジウム発振器(1): LPRO-101

     去年ハムフェアで購入したルビジウム発振器LPRO-101が押し入れから出てきました。ムダな買い物?と見なかったことにして再度しまい込もうかと思ったのですが、折角なので賞味期限が切れる前にケースと電源を用意して使える状態にすることにしました。


    応用製品の出力仕様
     ルビジウム発振器は電子機器や測定器の基準信号源として、分配接続されることが多いため複数の出力を持っていることが多いです。もちろん 個人使用ですので、多くの出力数は不要ですが測定器に接続できるレベルや波形にしなくてはなりません。そこでまず、市販のルビジウム発振器応用製品の仕様 を調べてみました。日本通信機SymmetricomStanford Research Systems
     概ね次のようになっています。
    • 10MHz正弦波、振幅1Vrms以上
    • 10MHzTTLレベル、>3V peak、デューティ比50%
    • コネクタBNC 50Ω

    測定器の外部標準入力について

     次に、接続される測定器の入力レベルを調べてみました。手持ちのSG(HP 8657A)は0.15V以上となっていますが、一般的にはどうなのかと思い、メーカの現行品も調べました。
     結果は、はっきり言ってバラバラ。同じメーカでもモデル毎に異なり統一されていない模様。どうやら必要に応じて適宜アッテネータを挿入して使うもののようです。波形についてサイン波とか方形波だとかの指定は、特段ないようです。
    • アンリツMS2711Dハンドヘルドスペアナ: -15dBm-+10dBm、50Ω
    • アンリツMS2681Aスペクトラムアナライザ: ≧0dBm
    • アンリツMG3641A/MG3642Aシンセサイズド信号発生器: ≧0.7 Vp-p/50 Ω
    • アンリツMF2400Cマイクロ波フリケンシカウンタ: 1~5Vp-p(AC結合)、入力インピーダンス:≧1kΩ
    • アジレント4403B ESA-Lスペアナ: –15 to +10 dBm
    • アジレント53181A RFカウンタ: 200mVrms~10Vrms
    • アジレントN9310A RF信号発生器:>0.35 Vrmsレベル、50Ω終端
    • アドバンテストU3741スペクトラム・アナライザ:0~+16dBm

    2009年12月1日火曜日

    お値打ち歳末セール

    チップワンストップで12月末まで歳末セールやってます。以前、私も購入したオリジナルサンプルキットが全品4,980円と、いつものセールより割安になっています。特に、チップコンデンサは魅力的ですけど、1608セラミックコンデンサキット2はお値打ちだと思うけど、そんなに使うのかと自問自答中。