2011年12月31日土曜日

2011年を振り返る

今年は、東京に引っ越すことになり、公私ともに環境が激変しました。色々な場面で震災と原発事故が陰を落とす1年でしたが、来年は先行き明るいよね~っと思っています。もちろん電子工作も面白い企画を見つけて取り組みます。


今年の成果

・FPGA FMトランスミッタ
基板を作ってケースに入れるまでは順調でしたが、肝心のHDLコーディングに着手せずに放置状態になっています。

・中華ラジオDEGEN DE1103 音質改善改造
”持病”とも言える音割れを改善しました。

・ガイガーカウンターキットを作る
簡易なキットを組み立てただけでしたが、身近な線量をチェックすることで安心感を得ることができました。

・APB-1ラジオ受信機
10kHz近くの高音域まで特性が伸びたラジオでAMラジオ本来の音質を体感できました。しかし、同時にAMラジオの受信環境の悪さを実感することになります。

・ループアンテナの実験
単にケーブルを巻いただけのアンテナですが、その特長を引き出すには工夫が必要でした。まだ作業途中ですが、シンプルな構造の割に味わい深いアンテナだと感じています。

・ELECTRONIC TOUCH'N TUNEラジオの修理
友人に頼まれ、松下製の旧いラジオの修理を行いました。作業は面倒でしたが終わってみれば意外に面白いものでした。


来年の目標

去年の記事を見たら、全く実現していなかったので少しは現実味のあることを。

・AMラジオの受信環境を改善
APB-1ラジオに使う外部アンテナとしてループアンテナが使えないか検討しているところですすが、もう1点、室内でポータブルラジオの受信改善ができないか考えています。

・ジッタクリーナを試す
お気楽オーディオキットさんから頒布されたジッタクリーナで、デジタルオーディオの音質変化を体感できるのか試してみる。

・プリント基板の外注
個人向けに低廉で基板製造を受託してくれる会社としてはOlimexが有名でしたが、昨今では中華企業も台頭しているそうです。基板CADは、DesignSpark PCBが有望株?


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2011年12月20日火曜日

中波受信用ループアンテナ その5(ループアンテナの理論式)

資料がないかとWebを調べていたら、アマチュア無線の方が非常に実践的な記事を書いておられたり、陸上無線技術士の問題解説サイトにわかりやすく要点がまとめられていました。ループアンテナの構造は一見シンプルに見えますが、その性能に関しては様々な要素が絡み合ってなんだかよく理解できません。結局のところ、私にできることは実験的に確認することしかないかなと感じています。とりあえずまとめメモです。


実効高
ループアンテナの利得とも言うべき実効高。実効高を計算で求める事が出来るので電界強度の測定にも使われるそうです。実効高は、ループアンテナ面積とループ巻数に比例するので面積半分でも巻数2倍にすれば実効高は同じになります。


但し、実効高h [m]、ループアンテナ面積A [㎡]、ループ巻数N [回]、波長λ [m]

例えば、直径0.5m 2回巻ループアンテナを1MHzで使用するときの実効高は0.0082m(-41.7dB)となります。(すごく低いですね!)

※2012.1.1 実効高計算値が間違っていたので修正しました


受信電圧
アンテナに誘起される電圧(開放端)は、実効高に電界強度を掛けると計算できます。アンテナで受信した電力を最大限受信機に伝えるために、アンテナと受信機のインピーダンス整合を取る目的でR1=R2としますから、受信機入力の電圧はアンテナの誘起電圧の2分の1になります。



アンテナの放射抵抗・放射効率
アンテナの等価回路は放射抵抗、損失抵抗、リアクタンス成分で考えます。


アンテナの放射抵抗は、電力が電波として空間に放射されて失われることによる損失を発生させる抵抗値と等価です。受信アンテナとすれば、受信電圧の信号源インピーダンスが放射抵抗と同じでと考えれば良いのかなと思います。しかし、実際のアンテナでは等価回路のように損失抵抗やリアクタンス成分が直列に繋がっているためどうしても損失が発生します。
微少ループアンテナの放射抵抗は次の通りです。前述のループアンテナを当てはめると0.59μΩになります。(本当!?)


但し、放射抵抗Rr [Ω]、波長λ [m]、ループアンテナ面積A [㎡]、ループ巻数N [回]


※2012.1.1 数式が間違っていたので修正しました

損失抵抗は、銅損(配線の直流抵抗や半田付け)、誘電体損、表皮効果等々などによるそうです。
共振型のアンテナでは、リアクタンス成分がゼロとしますので、抵抗成分だけに着目すると、放射効率ηは次の通りとなります。



但し、放射効率η、放射抵抗Rr [Ω]、 損失抵抗Rloss [Ω]

ループアンテナでは、放射抵抗が非常に小さいので損失抵抗がそれに見合うほど小さくできなければ放射効率が下がってしまいます。
放射効率の向上については、JH1GVY氏のWeb記事に詳しくまとめられており、放射効率を上げるにはループの直径を大きくすることとエレメント断面の太さを太くすること等が挙げられています。


ループアンテナのQ
直列共振回路なのでQは次の通りです。



但し、角速度ω [rad/s]、リアクタンスL [H]、抵抗r [Ω]

ループアンテナ単体に着目すれば、r = 放射抵抗Rr + 損失抵抗Rloss でこのときのQは無負荷Qと呼ばれます。整合をとった負荷を接続したときは、さらに負荷抵抗が加わるのでQは半分(負荷Q)になります。





2011年12月18日日曜日

中波受信用ループアンテナ その4(受信テスト)

これまでの測定結果から、直径50センチ4回巻のループアンテナでは自己共振点が中波放送帯に近いことがわかったので2回巻に変更して、マッチング回路と組み合わせてみました。

自己共振周波数は約4.2MHz

インピーダンス特性


マッチング(整合)回路
直径50センチ 2回巻ループアンテナの単体インピーダンスの抵抗成分は、600kHz付近で約600mΩと非常に低いものでした。これは簡易測定器による測定のため正確とは言えませんが、それでもかなり低いことは明白です。
このインピーダンスを受信機の50Ωに近づけるため、整合回路を作成しました。コンデンサでリアクタンス成分を打ち消す(共振)した後に、トランスでインピーダンスを81倍に変換します。

マッチング回路






マッチング回路で使うコンデンサですが、高々1MHz近辺だから汎用品のマイラーコンデンサ(ポリエステルフィルム)で大丈夫と思って使ってみたところどうも変です。ループアンテナの抵抗成分は0.6Ω程度なのにインピーダンス変換比36倍のトランスで50Ω近くになってしまいます。巻物構造のため内部抵抗が高いのかもしれません。上記の用に積層構造のマイカコンデンサにしたらもっともらしい動作となりました。

マッチング回路(失敗版)





受信テスト
ループアンテナを傘にテープで固定して、ホイップアンテナ近くに設置して受信端子電圧を比較してみました。2回巻のループアンテナ単体ではホイップアンテナと大差ないかやや低めですが、マッチング回路を取りつけると大幅にレベルが増えることがわかります。また、当地ではどういうわけかループアンテナを水平に設置した方がレベルが高いことがわかりました。それと、ループアンテナ1回巻と2回巻でマッチング回路なしのときは約4dBの差がありました。


受信端子電圧(単位dBμ)

ホイップアンテナ SA7000

ループアンテナ 直径50センチ 2回巻 垂直設置(マッチングなし)

ループアンテナ 直径50センチ 2回巻 垂直設置(マッチングあり)

2011年12月13日火曜日

中波受信用ループアンテナ その3(トランスを測る)

思うところがあってインピーダンス変換に使うトランスを測ってみました。
コア材としてFB-101とアモビーズ(AB4X2X8)を使い、ポリウレタンエナメル線(UEW) 0.26mmを巻きました。



フロートバランのコモンモード除去比
特性インピーダンス50Ωとして測っています。中波帯でアモビーズは良い感じです。仮に20dBのコモンモード除去比が必要なら、測定値から類推して7ターン程度必要になりそうです。



トランス(変圧比1:1)
バイファイラ巻きとした1:1のトランスです。アモビーズで少なくとも4回巻ほど必要そうです。




トランス(変圧比1:2)
バイファイラ巻きで変圧比1:2としたトランスです。損失は、2個のトランスをカスケード接続したものを測定して、測定値の2分の1としました。特性インピーダンス50Ωで測定しています。



次に本当に、インピーダンスが変換されているのか確認しました。1次側に抵抗を接続して、2次側のインピーダンスを測ります。2次側では抵抗値が4倍に見えるはずですが、51Ωでは、低めの測定結果となりました。




トランス(変圧比1:3)
トリファイラ巻きで変圧比1:3としたトランスです。



変圧比が1:3なので、2次側からみたインピーダンスは9倍に見えます。この結果を見ると、入力インピーダンスが低くてもそれなりに使えそうです。

2011年12月8日木曜日

磁気浮遊装置キット

Make: Tokyo Meeting 07で購入した『磁気浮遊装置キット』を組み立ててみました。
小さな磁石を取り付けたクリスマスオーナメントの球体を電磁石にゆっくりと近づけると、力の強弱を伴いながら引き寄せられます。そこで手を離すと宙に浮かび上がります。なんとも不思議な感覚です。



このキット、組み立てそのものは簡単ですが最初はうまく動作できませんでした。宙に浮かぶどころか電磁石にビタッとくっついてしまいます。取説に従って「磁石とコイルの釣り合い距離」と「フィードバックゲイン」のボリューム調整を行ってもまるでダメでした。
いろいろ考えまして、ひょっとしてセンサの位置が悪いのでは、とボルトとホールセンサの中心を合わせて取り付け直したところ動作するようになりました。(ホールセンサ基板の中心とホールセンサの中心がずれているため、基板とボルトの中心を合わせるとセンサー位置がずれてしまいます)
しかし、あとから取説を確認すると『ホールセンサがボルトの中心に来るように取り付けます』とちゃんと書いてあるではないですか。取説はちゃんと読まなくてはいけませんね!


2011年12月4日日曜日

Make: Tokyo Meeting 07(MTM07)

目黒区大岡山で開催されたMTM07に行ってきました。


HelloWORLD
去年展示していた磁気浮遊装置がキット化されていました。

HelloWORLDサポートサイト




これが組み立てキット。電磁石用のコイルは、市販品がなく自作のコイル巻き器で巻かれたそうです。コイル巻き器の展示も拝見しましたが、自作できるのですね。





今江科学
ラジコン潜水艇が展示されていました。ラジコン送信機を除くと15000円以下で製作できるそうです。Webカメラを搭載しており水中の映像をPCで見ることができます。映像伝送のためUSBケーブルが必要ですが、電源内蔵で制御はラジコン用プロポを使った無線式です。水中に届けるためラジコン周波数は40MHzを使うそうですが最大深度5mまで電波が届くとは驚きです。また、潜水のために垂直方向のスラスターのほか、電動ポンプを使ったバラストタンクへの注水(排水?)機構(※写真3枚目)まで付いているそうです。

今江科学





札幌SDR研究会

遠隔地に設置したアンテナとSDR受信機のIQ信号出力をVOIPによりネットワーク経由で受信するというもの。音声復調は、DSP機能を内蔵したColdfireマイコン基板を使います。会場では札幌のアンテナで受信した音声が聴けたり手元のロータリーエンコーダで受信周波数も変更できるデモを行っていました。IQ信号のサンプルレートは96kHzとのこと。

札幌SDR研究会




チーム奥澤

宇宙エレベーター昇降機「momonGa-3」の展示。宇宙エレベーター技術競技会JSETECにも参加してされています。秒速10mで昇るそうですが、凄いです。

「チーム奥澤」の開発日記。





久川真吾
「ラピュタの飛行石(国際宇宙ステーションレーザートラッカー)」と称する、国際宇宙ステーションの方向にレーザー光線を発射する装置の展示。国際宇宙ステーションは、肉眼でも飛行機並の明るさで見ることができるとのことで、空に向かって伸びるレーザー光の方角を見れば、容易に見つけることができるそうです。

株式会社鳥人間
ラピュタの飛行石を作ってみた




ぬののしらべ
複層アクリル板時計の展示。アクリル板に基板加工機で溝を付けたものを複数枚重ねています。これなら好みのデザインや大きな表示器も自由にできますね。




(出展名称わかりません)

自作のデジタルオシロの展示。アルミ弁当箱に入れてあります。FPGA(Spartan3A)を使った基板も自作!ビデオ信号の表示が見やすくて印象的。手持ちのテクトロよりキレイに見えたのは気のせい?

mikan++




アールエスコンポーネンツ株式会社
DesignSpark PCB フリーの電子設計ツールで、①回路図設計、②プリント基板設計、③基板製造データ(が-バーファイル、BOM)作成が行える。Eagleのインポートも可能。
機能制限はないそうです。

DesignSpark PCB