2013年4月13日土曜日

RTX100A 地デジ信号ジェネレータ

テクトロニクス社 RTX100A は、地デジ信号発生器として当時ではコンパクトな部類の測定器です。それに MPEG 信号の記録/再生機能もついていて遊べそうです。とりあえず出力される RF 信号がどんなものか測ってみました。


出力レベル

高調波

MER特性

この測定器、ご覧の通り特性を追求しているというわけでもなく、製造ラインに組み込むような風貌でもありません。コンパクトサイズを生かして、RF 特性を重視せずにすむ CATV 向けセットトップボックスの開発現場で1人1台ずつデスクに置いて使ってください、みたいなコンセプトなんでしょうか。

2013年4月11日木曜日

スペアナで地デジのレベルを測る

地デジの測定器も中古品はすでに価格下落方向にあり、使い道があるわけでもないですが地デジ信号アナライザMS8901Aや簡易型の信号発生器RTX100Aなどを入手してしまいました。
入手した個体は校正切れで、動作確認として信号発生器(これも校正期限切れ)を接続して測定してみます。
ファーストステップとしてレベル測定だろう、と地デジ IF 信号 37.15MHz -10dBm を「ISDB-T 電測ソフトウェア」のチャンネルパワー表示で見たところ -10.38dBm と妥当な結果となりました。

チャンネルパワー(ISDB-T 電測ソフトウェア)


次に、スペアナ画面でチャンネルパワー測定機能で測り、同じ結果となるか確認します。
スペアナの測定パラメータは、JEITA のデジタル放送技術セミナー資料に合わせてみます。
SPAN = 10MHz
RBW = 30kHz
VBW = 300kHz
Detection Mode = Sample
BW = 5.6MHz

画面の数値がパラパラとばらつくので Display メニューから Storage - Average としてアベレージングをかけたところ、-13.1dBm と 3dB 低い数値になりました。これは変です。

チャンネルパワー(Display メニューで Average)

アベレージングを解除すると数値はばらつくものの、-10.3dBm 付近を前後していることに気がつきました。

チャンネルパワー(Average なし)

正しい数値を安定して表示できないか試行錯誤の結果、2種類の設定方法があることがわかりました。まず Display メニューから Storage - Linear Average としてリニア・アベレージングをかける場合です。スペクトラムが方形になり、教科書に出てくる OFDM 信号のようです。

チャンネルパワー(Display メニューで Linear Average)

そして Measure メニューの Channel Power の設定メニューで Average を指定する場合です。このとき波形は変わらずに数値の指示だけが平均化されます。スペクトラムはノイズっぽく見えますが、実際はこういう波形なんでしょうね。

チャンネルパワー(Measure メニューで Average)


どうやら Average と Linear Average の設定に大きな違いがありそうです。
取説には次のように書かれています。

Average
掃引ごとに、各X軸のポイントにおいて、平均化の演算を行い、その結果を表示します。S/Nの改善に用います。

Linear Average
Averageと同様に平均化の演算を用い、その結果を表示します。ただし、平均化演算はリニア値に変換した値に対して行います。


そうです、この説明を見て思い出しました。デジベル値の平均をとるには、実数に戻してから平均をとって、その結果をデシベル(対数)に戻さなくてはいけなかったのです。

これらの結果から、設定に配慮すればチャンネルパワー測定機能で正確に地デジのレベルを測れるであろうことがわかりました。