2016年6月8日水曜日

直るかFMチューナ KT-9900 その2

前回の記事で音が出るようになったので BLUESS Laboratory さんのサイトを参考に調整をしてみます。シグナルメータの触れ具合がイマイチなので、まずはチューナパックの調整です。
同調回路のトラッキング調整をしようとトリマーコンデンサを廻してみるとパキッと音がして調整できなくなりました。よく見ると蒸着された電極が剥がれ再起不能です。RF段の7個のうち2個が同じように壊れしたが、残りもいずれ壊れるのは明らかですから全数交換することにしました。写真の白い部品がそれです。IF段のコンデンサは、すでにメーカの手で交換されていた模様です。

一通り、同調調整を行いメータの指示の校正をしました。
シグナルメータは、dBf という謎の単位表示になっていますが、dBf の f はフェムトワットを意味しているそうで、0dBf は 1×10-15 W となります。dBm表示に換算すると、
0dBf = -150dBW = -120dBm となります。
試しに 60dBf 相当として、50Ωの信号発生器を接続し 50Ω⇒75Ωの不整合損失2dBを見込み、-58dBmを入力してシグナルメータの触れを確認します。
76MHz で 52dBf、83MHz で 53dBf、90MHz で51dBf と低めの表示になりました。原因は、能動部品の劣化なんでしょうか。




次いで DDLの動作不良を調べようと、信号の流れを追いかけたところ、DDL基板の入力オペアンプ HA1457 の不良がわかりました。ピンアサインはともかく 5532 で置き換えができそうですが、あちこち故障が見つかり満身創痍のチューナを修理することに意味があるのか考え込んでしました。
地道に部品交換すれば、まだ直せそうですが、何しろこんなに部品が使われてますし、あまり状態の良くない個体故、所期の性能を維持するのは並大抵のことではなさそうです。いっそのこと、チューナパック部分とトランスを流用して、FPGAチューナ基板を詰め込んだほうが工作的には面白いかもしれません。



参考資料
FMチューナの感度について - LSIサポート