2012年4月25日水曜日

ISE13.4 WebPACKのダウンロード

久しぶりに ISE を触ってみようと、バージョンをチェック。
今の最新版はISE13.4になっています。

Windows用インストーラは何と5.67GB!
ところがダウンロードするも中途半端な容量で終了。そういえば、前回もダウンロードで苦労したような気が・・・


3度ダウンロード失敗


ChromeでのダウンロードをあきらめInternet Explorerでチャレンジするとあっさりと成功。
細かい仕掛けはわかりませんが、Chromeでは、"Download Manager"がWebから自動インストールされないのが原因っぽいです。おそらくセキュリティ設定を変えなくてはならないのかも。





2012年4月20日金曜日

中波受信用ループアンテナ その22(受信帯域幅を拡大して音質改善)

同軸ケーブルで製作したループアンテナの課題

1.帯域幅が狭い
無負荷時の帯域は4kHz、負荷接続時は6kHz強(アンテナインピーダンス88Ω、負荷インピーダンス50Ωのとき)になっているものと推測しています。
ラジオ放送には強力なプリエンファシスがかかっているため高音が出ないといった違和感はないですが、やや歪み感があります。


→ 複同調回路で帯域幅を広げてみる

2.同調周波数ずれ
1ヶ月ほど屋外で使用しているうちラジオの受信音質が歪みっぽくなりました。同調周波数を測ると3kHzほど低くなっています。
同調周波数は、エレメントのインダクタンスと同調コンデンサのキャパシタンスで決まります。これは屋外設置後電線管の中で同軸ケーブルの位置がずれたり温度変化で同軸ケーブルの長さが変わることによってインダクタンスが変わったことと、同調コンデンサのキャパシタンス変動によるものと思います。
エレメントの温度特性は予想も付きませんが、同調コンデンサはマイカコンデンサ(±200ppm/℃)とトリマコンデンサ(±2.5%)を使っており、特にトリマコンデンサの変動は無視できません。


→ 同調コンデンサには温度特性の良い物を選定し、特にトリマコンデンサの容量は最小限にすることにします。同調に影響するコイルも同様に配慮する


複同調回路で帯域幅を拡大

これは某氏の好意で頂いた設計データ(C1~3、L1)です。PSpiceを使うと便利にシミュレーションできるそうですが。。。


複同調と言うことでループアンテナのインダクタンス(45μH)とC1、L1(45μH)とC2の2組の同調回路を組み合わせています。C2を変化させると同調回路相互の結合度が変わるそうです。L1の両端からトランスでインピーダンス変換して出力を取り出します。
C1, C3は、マイカコンデンサに並列に45pFのトリマコンデンサを接続して同調周波数を微調整します。C2には積層フィルム型のコンデンサを選びました。
変圧比12:1のトランスは、トロイダルコアに24回巻いて2回巻目にタップを引き出したものです。



L1のインダクタンスは45uH必要で、T68-#2の場合は計算上は89回巻となります。ここで巻線としてUEW 0.32mmを使う場合、1層巻の上限は80回なので、9回分は重ねて(2層)巻く必要があります。
『トロイダル・コア活用百科』によると、”トロイダル・コイルの巻線はコアの全周にわたって均一に分布するように巻く” もので “巻線が片寄っていると漏れ磁束を生じる” ため、インダクタンスが計算値と比較して多めになるようです。
今回の場合、89回巻を実測すると48.3μH(594kHzにおいて)となり、トロイダルコアの製造誤差の範疇かもしれませんが巻数を調整して86回巻で45μHになりました。




複同調回路の調整

調整前のインピーダンスはこんな感じです。2つのトリマコンデンサを調整しますが、山のピークを思うように動かすことができません。

594kHz付近を平坦にしたいところですが・・・


複同調回路は、2つの同調回路の結合度を調整して単峰特性と双峰特性を実現するものです。私は、同調周波数の異なる2つの同調回路を結合させるものと理解していましたが、実際には同調周波数の同じ2つの同調回路の結合度を変化させるだけで特性が変わるものでした。このため、期待通りに調整することができなかったのです。

そこで某氏に調整方法を指導して貰います。
(1)まずはC1またはC3の片方を調整して2つの山の高さを揃える
※相互の同調周波数を揃える
(2)C1とC3を同量ずらして全体の周波数を調整
(3)片方のトリマだけを調整して2つの山の高さを揃える

これらを繰り返して全体の周波数を調整します。山の間隔は、C2で結合度を変えて調整します。
下の図は、結合度を (C2を大きく)にさせたときの変化です。(下の図のほうが結合度が  になる)





調整中の図



受信テスト

インピーダンスアナライザでレジスタンス成分、リアクタンス成分、位相を測りながら調整しました。ただ、3つの指標の何を基準に合わせればよいのか困りました。結局、中心周波数で位相が0度になるようにし、レジスタンス成分の2つの山の高さを合わせるよう調整しました。
結果的には、C2=0.1uFとしました。ただこれは、帯域幅を広げすぎたようで結合度が密のため損失が増えてしまい(通過帯域中心の減衰量が増える現象)受信レベルが下がってしまいました。




最後に受信テストです。
受信機に接続して、あれっと感じたのはNHK第一以外まともに受信できないことです。
複同調回路はフィルタをカスケード接続するようなものですから、スペアナで見ると希望周波数以外が大きく減衰している様子がわかります。また、受信レベルが7dBも低くなってしまいました。もう少し定数を見直したほうが良いかもしれません。
また、懸案だった受信音質は改善されました。






参考資料

home page of, JF1OZLコイルの基礎実験:複同調の磁気結合係数とバンドパス特性に関して
無線工学の基礎(1アマの無線工学) - 受信機の選択度とIFTの特性 通過帯域幅・単峰特性と双峰特性

2012年4月14日土曜日

秋葉原でループアンテナ

秋葉原にトロイダルコアを買いに行った帰り、ロケット アマチュア無線本館というお店の前にループアンテナが展示されているのを見かけてびっくりしました。
秋葉原でアマチュア無線機器というと、富士無線電機とラジオセンターのお店くらいしかないと思い込んでいたので、こんなところにこんな大きなお店が!という驚きと、しかもループアンテナを店頭販売していることの2重で驚き。

取り扱っているのは、field_antという工房の製品で、手に届きそうな価格でいろいろと商品がありました。アマチュア無線用ですが、エレメントはそのままで中波でも使えますから、自作のマッチング回路と組み合わせばラクができます。特にMK-4A/MK-4Bは良い感じです。



2012年4月11日水曜日

中波受信用ループアンテナ その21(アルミ平板でもループアンテナ)

いろいろと思うところがありアルミでもループアンテナを試作してみました。
エレメントには、幅15mm 厚さ2mm 長さ1mのアルミ平板2本を接続して円形ループにします。いびつな円形になっているのはご愛敬。



まずは、インピーダンスを測ります。15MHz付近にピークがあります。
中波帯594kHzのインピーダンスは約6Ω、インダクタンスは約1.6μHです。




続いてレジスタンス成分を測ります。測定系の都合でレジスタンス成分とリアクタンス成分に大きな差があるとうまく測定できないので、直列同調コンデンサでリアクタンス成分をキャンセルしてレジスタンス成分を測ります。写真は、測定途中のもので、最終的に配線を3本並列に変えたりと試行錯誤しています。

レジスタンス成分の測定は、トリマの同調範囲の都合で周波数610kHzで行いました。グラフから約65mΩと読み取れます。ループアンテナのインピーダンスは、65mΩ + j6Ωということになります。ただこの測定値は、測定器の誤差はもちろん接続ケーブルの抵抗、コンデンサのESR、エレメント~ケーブル間の接触抵抗を含んでいます。特にアルミは、表面に酸化被膜ができることもありネジの締め具合やクリップのつまみ方で接触抵抗が大きく変動するので測定に苦労しました。

グラフからは、帯域幅が2.9kHz×2 = 5.8kHzと読み取れます。従ってループアンテナの無負荷Q 610kHz/5.8kHz = 105 となります。




次に、同軸ケーブル外部導体によるループアンテナとゲインを比較するため、整合回路を接続します。約65mΩを50Ω近くまで変換するために変圧比3(インピーダンス変換比9)のトランスを3段重ねとしています。




このトランス2段目と3段目の出力でインピーダンスを測定してみました。それぞれ約7Ωと65Ωと概ね適正にインピーダンス変換ができていることがわかります。
ただここで着目すべきは、帯域幅と無負荷Qの変化です。2段目は帯域幅7.2kHz(無負荷Q=83)、3段目は帯域幅9.2kHz(無負荷Q=65)とトランスを通る毎にQが低下しており、トランスでロスが発生していることがわかります。




さて、いよいよ同軸ケーブル外部導体によるループアンテナと受信電圧を比較してみます。594kHzの受信電圧はアルミ平板56.6dBμVで同軸ケーブル59.5dBμVより約3dB低くなりました。また、両者でノイズレベルが大きく違いますが、アルミ平板だからノイズが大きいとかそんなはずもないので、測定時にぶら下げたベランダの吊り下げ金具からノイズが流入したと推測しています。(吊り下げ金具は建物の鉄筋と導通しているため)

アルミ平板によるループアンテナ


同軸ケーブル外部導体によるループアンテナ


最後に考察です。
ループアンテナの出力電圧を、アルミ平板1回巻の起電力に対する差分として計算してみます。

(1)同軸ケーブル外皮によるループアンテナ

諸元:直径55cm、巻数6回、整合回路: 変圧比1:3のトランス2段、出力インピーダンス88Ω

ループアンテナの起電力は直径の2乗に比例するので、同軸は(55/60)^2 = 0.84倍。巻数に比例するので6倍、さらにトランス2段で9倍に昇圧されます。出力インピーダンス88Ωに50Ω負荷を接続するので負荷電圧は50/(88+50)=0.36倍。従って、0.84×6×9×0.36=16.3となります


(2)アルミ平板によるループアンテナ
諸元:直径60cm、巻数1回、整合回路 変圧比1:3のトランス3段、出力インピーダンス65Ω

この1回巻ループを基準と考えると、トランス3段で27倍に昇圧されます。出力インピーダンス65Ωに50Ω負荷を接続するので負荷電圧は50/(65+50)=0.43倍。従って、27×0.43=11.61となります。

(1)(2)の負荷電圧を比較すると、20 log(16.3/11.61) = 2.9dB と、実測値と同じになりました。

2012.4.13 計算に間違いがあったので修正しました

さて、今回の試作を通してわかったことです。

・アルミ平板(幅15mm 厚み2mm)は、同軸ケーブル(5D-2V)外皮より
レジスタンス成分が低く、同じ受信電圧をより少ない巻数で得ることができる


・アルミ平板は、接触抵抗が安定しないため、接続部分を機械的にガッシリ作るなど工夫が必要。特に中波帯など低い周波数では、短波帯と比較して接触抵抗値が相対的に大きくなるかもしれません。


(注)アルミ製ループアンテナをお使いの方から、5年の経年後でもDCR測定値に問題がなかったとの報告が寄せられました。
当方の試作では、エレメントから接続ケーブルを引き出すためのたまごラグを、2つのアルミ平板端点でねじ1本で共締めしていました。このねじの締め具合で594kHzで10~50mΩ程度の変動がありました。たまごラグの接続には専用のねじで固定すると良いのかもしれません。実際にアマチュア無線用にアルミ製ループアンテナが市販されれています。(2012.4.13)


・低いインピーダンスを扱う整合回路はロスが出やすい。


・直径60センチ 1回巻のループは、中波帯で使用するにはインダクタンスが小さすぎて同調コンデンサの容量が大きくなり使いづらい。整合部とループを接続するケーブルの長さを数センチ変えるだけで同調点がずれます。