2009年7月8日水曜日

FMトランスミッタ: ステレオ変調器(1)

1.ステレオ変調信号
 ステレオ変調信号(ステレオコンポジット信号)は、メインチャンネル信号、サブチャンネル信号、パイロット信号から成り立っています。

  • メインチャンネル信号(M)
左信号(L)と右信号(R)の和。
    L+R
  • サブチャンネル信号(S)
左信号と右信号の差信号でステレオサブキャリア(38kHz)で平衡変調。
    (L-R) sin ωs t
  • パイロット信号(P)
ステレオパイロット信号(19kHz)。レベルは10%変調相当レベル。
    P sin ωp t

  • コンポジット信号(C)
C = (L+R) + (L-R) sin ωs t + P sin ωp t




ステレオ変調器 ブロック図










 このコンポジット信号のスペクトルイメージは次の通りです。メインチャンネルの最大レベルは変調度90%相当。サブチャンネルも同様ですが、和・差の関係から、メインチャンネルとサブチャンネルの合計が90%を越えることはありません。パイロット信号は10%相当で一定レベルです。




コンポジット信号のスペクトルイメージ








2.ステレオ変調信号波形
 エクセルで作成したステレオ変調信号波形例を示します。
 まず音声信号の振幅は左右それぞれ最大レベル、すなわち45%変調相当レベルを想定しています。グラフ上では振幅0.45としています。Lチャンネルの信号周波数は1kHz、Rチャンネルは2kHzです。このほか38kHzのサブキャリア信号、19kHzのパイロット信号も示しています。パイロット信号のレベルは10%変調相当としています。




ステレオ変調信号波形(1)
Lチャンネル: 45%変調相当、1kHz
Rチャンネル: 45%変調相当、2kHz
38kHzサブキャリア信号
19kHzパイロット信号、10%変調相当





 次は、サブチャンネル信号波形です。L-R信号に従って、38kHzサブキャリア信号の振幅と極性が変化していることがわかります。




ステレオ変調信号波形(2)
サブチャンネル信号








 メインチャンネルとサブチャンネル信号を合成した波形です。パイロット信号を含まないステレオコンポジット信号です。L+R信号を中心にサブチャンネル信号を重ね合わせた波形となっています。




ステレオ変調信号波形(3)
メインチャンネルと
サブチャンネル信号の合成







 (3)と同じ信号ですが、左右の信号を2倍にした波形をプロットしたところです。
メインチャンネルとサブチャンネル信号の合成波のエンベロープ(包絡線)は、左右の信号そのものであることがわかります。言い方を変えると、左右の信号の間を38kHzのサブキャリアで塗りつぶしたような波形になっています。




ステレオ変調信号波形(4)









 最後にステレオコンポジット信号です。パイロット信号を含むので波形がくずれてしまい、わかりにくいですね。




ステレオ変調信号波形(5)









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