2010年6月8日火曜日

ヘッドホンアンプ: 特性確認・ポップノイズ・電源の突入電流・ヒートシンク温度

特性確認
ASUSのXONAR D1サウンドカードとWaveSpectraを使ってチェックしてみました。ところが、XONAR D1のD/A出力が不調らしくサウンドカード単体のループバックテストでは周波数特性がメチャクチャ。
XONAR D1のA/D変換は問題ないのか、という一抹の不安は残るもののFN1242でD/Aさせた出力をD1のA/Dに接続して周波数特性を測ってみたところ、FN1242のデータシートに沿った感じのもっともらしい特性が得られました。

系統は、次の通りです。

S/PDIF信号(48ksps)

FN1242 D/Aコンバータ基板
↓  
SSM2404セレクタ+LM4562バッファアンプ
↓  
PGA2311電子ボリューム
↓   
LM4562バッファアンプ
↓   
PCのサウンドカード(192ksps)



D/Aコンバータの周波数特性(アンバランス・ライン出力)


XONAR D1の周波数特性(ループバック)


次はS/N比です。系統は周波数特性と同様です。
S/PDIF信号テスト信号とPCのサウンドカードのサンプルレートをそれぞれ、48ksps/48ksps、192ksps/192kspsの組み合わせて、S/Nを比較しました。結果は、48kspsでS/N 95.7dB、192kspsで77.3dBでした。192kspsのときにS/Nが悪く見えるのは、FN1242の折り返しや帯域外ノイズの影響を受けたためと考えています。
FN1242データシートには、44.1kspsでS/N 102dBと記載されていますが、実測で6dB悪くなったのは
付属回路が増えたことと実装上の問題によるものなんでしょうか。ノイズレベルなどまともに計算していないのでどの程度が正解なのかわかりませんが、私的には電源ハムの影響を恐れていたので90dB以上とれた!って感覚です。

S/Nの測定は、種々のフィルタを使用する場合があるので測定条件が明確でないと結構くせものです。FN1242は測定帯域20kHzとしか書いていませんが、A特性(A-weighted)のフィルタなど、ヒトの聴覚特性を考慮した補正を行う場合があります。この補正は、中音域は感度高め、低高音域は感度低めにはたらくので、例えば高域に多くのノイズが存在する信号では、フィルタを通したほうが見かけのS/N比が有利に見えることになります。 ただFN1242の場合は、同業他社よりもスペックが低めの表示なので補正なしのすっぴんの測定値ではないか、と想像しています。



-3.27dBrms(0dB FS/48ksps)



-98.94dBrms(MUTE/48ksps)



-3.27dBrms(0dB FS/192ksps)



-80.52dBrms(MUTE/192ksps)


ヘッドホンアンプ出力のノイズをオシロで測ってみました。まず、ヘッドホンを接続して端子電圧が0.2Vrmsになるようボリュームをセット。入力を無信号にしてセレクタを切替えてノイズを測定しました。結果、0.3~0.7mV程度と大きいです。S/Nでいうと60dBを割り込む程度。でも可聴帯域外なのでヘッドホンではまったく聴こえません。ただ、オシロでの測定は出力端子にプローブをただパラ接続しているだけですが、単にそれだけでいいのか(コモンモードノイズの影響を受けていないか)問題を感じていて結果を額面通り受け取れないなと思っています。


ヘッドホンアンプ出力 0.2Vrms


ヘッドホンアンプ出力 0.7mVrms(USB入力・無信号)


ヘッドホンアンプ出力 0.45mVrms(ライン入力・無信号)



ヘッドホンアンプ出力 0.28mVrms(MUTE)



入力切替時のノイズ

セレクタスイッチを切り替えるとノイズが出ます。通常のボリューム位置ならさほど気になりませんが、どうしてこのような波形になるのかよくわからないです。



ヘッドホン出力端子の波形



電源の突入電流
0.5Aのヒューズが何故飛んだのか、ジャンクで入手した日置の電流出力型クランプセンサを使って電流を測ってみます。取説によると定格1次電流100A・定格2次電流0.1Aということで、電源設備で言うところのCT(カレントトランス;計器用変成器)ですね。こういうものは2次側を開放して使うと、高圧が出て危険なのでかならず抵抗とか電流計とかをつないでおかなくてはいけないです。今回は、たまたま手持ちにあった75Ωの映像用終端抵抗器をつないで、その両端に発生した電圧をオシロで観測しました。
 クランプセンサの変流比は1000:1なので、75Ωの抵抗に流れる電流は、センサの1次側の1000分の1です。このため1次電流は(1000/75)×抵抗の電圧となります。
電源投入時の突入電流の波高値は0.28Vなので1次側は(1000/75)×0.28=3.7A(実効値2.6A)。また、定常時の1次側の波高値は(1000/75)×0.018=0.24Aとなります。

次にヒューズの特性なんですが、いくら突入電流とはいえたかだか定格の数倍の電流が瞬間的に流れるだけで溶断するのか、というところに疑問を持ちました。
 よく電子部品販売店で見かける富士端子工業の資料を調べてみました。同社のカタログには、定格電流値に対する溶断電流と時間の関係を示すグラフ(溶断特性曲線表; Itカーブ)がタイプ別(普通溶断型・速断型・耐ラッシュ型)に掲載されています。今回のヒューズは、どのタイプかは不明ですが、普通溶断型の場合、実効値2.6Aで40msで溶断するようです。40msというと、商用電力の約2サイクル分です。電流波形の実測値から判断すると、ギリギリで「セーフ」だと思いますが、経年劣化も考えると「アウト」だったのかもしれません。いずれにせよ0.5Aの普通溶断型では、余裕があるとは言えないことがわかりました。トランスメーカが推奨する耐ラッシュ型(遅延型?)が使えれば安心でが入手しづらいので普通溶断型の1Aくらいにしておこうかと思っています。


トランス1次側の電流波形(電源投入時)



トランス1次側の電流波形(定常時)



 測定風景

 
ヒートシンクの温度
室温25.1度、蓋を開けた無風状態で測定してみました。設計値に対して当たらずとも遠からじ、と言ったところでしょうか。これなら暑い夏でもなんとか使えそうです。

  • +12V電源: 41.3度(温度上昇16.2度; 設計値19度)
  • -12V電源: 40.2度(温度上昇15.1度; 設計値19度)
  • +5V 電源: 36.5度(温度上昇11.4度; 設計値18度)
  • TPA6120A2: 41.8度(温度上昇16.7度; 設計値14度)

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