2009年5月18日月曜日

FMステレオチューナに選局機能をつける(その1)

 ディジタル・デザイン・テクノロジ誌のディジタルFMステレオチューナに、ボード上のDIPスイッチで周波数を変更できるよう簡単な選局機能をつけました。ただ現状の設計で既にFPGAのリソースを使い切っているので、今回の選局機能の追加にあたってはSPDIF出力機能を犠牲にせざるを得ませんでした。


1.受信周波数設定値の決め方
 受信周波数は、NCOの周波数により決められています。このチューナでは、NCOの周波数はVHDLのソース"const.vhd"の中で指定されているので、DIPスイッチの設定でNCOの周波数を変更できるように、手を入れました。
 この回路でA/Dコンバータは73.728MHzのサンプルレートでFM帯の信号をアンダサンプリングしています。すなわちFM周波数帯の信号は73.728MHzの局発で周波数変換されたように見えることになります。

 (例) 受信周波数82.5MHz - 73.728MHz = 8.772MHz(A/D変換された信号の周波数)

 この信号を、FPGA内部のNCOで生成した局発信号でベースバンドに変換するので、受信周波数はNCOの周波数設定で決まることになります。NCOの動作周波数は73.728MHzで、周波数設定は28ビットなので出力周波数は次の式で決まります。

 NCO出力周波数 = 73.728MHz × (周波数設定値)÷ 2の28乗

受信周波数82.5MHzとするためNCO出力周波数を8.772MHzにする場合、

 周波数設定値 = (8.772 / 73.728)× 2の28乗 = 31,937,877 <10>

となります。31,937,877を16進数で表現すると、1E75555 です。


2.受信周波数とNCO設定値
 FMラジオは、都市部なら携帯チューナのイヤホンコードのアンテナでも強力に受信できます。しかし、強力に受信できたとしてもFM変調はアナログ方式なのでビルや山の反射波などいわゆるマルチパスの影響を受け案外キレイには受信できないものです。(よ~く耳を澄ませると、ジュルジュルといったノイズが聞こえるはずです)
 理想的には、やはり屋外アンテナやCATV(一部のCATV局はFMも再送信しています)の再送信を受信するのがベターです。そこで今回は、CATV経由でもFMを受信することにします。CATVのFM再送信では、放送局の周波数から少し周波数をずらしている例が多いです。調べたところ当地でもそのようになってました。

  局名    放送周波数   CATV再送信  ZIP-FM    77.8MHz    78.8MHz  Radio-i   79.5MHz    81.0MHz  FM Aichi  80.7MHz    81.7MHz
 NHK      82.5MHz    83.5MHz


これらの周波数をボード上の4ビットのDIPスイッチに割り当てます。

DIPスイッチ  受信周波数  NCO周波数  NCO設定値 0000      77.8     4.072     0E238E3 1000      78.8     5.072     119C71C
 0001      79.5     5.772     140AAAA
 1001      81.0     7.272     1940000 0010      80.7     6.972     1835555 1010      81.7     7.972     1BAE38E 0100      82.5     8.772     1E75555 1100      83.5     9.772     21EE38E 0011      83.0     9.272     2031C71 0111      88.5    14.772     334AAAA
 1111      84.7    10.972     2618E38

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