ディジタル・デザイン・テクノロジ誌のディジタルFMステレオチューナに、ボード上のDIPスイッチで周波数を変更できるよう簡単な選局機能をつけました。ただ現状の設計で既にFPGAのリソースを使い切っているので、今回の選局機能の追加にあたってはSPDIF出力機能を犠牲にせざるを得ませんでした。
1.受信周波数設定値の決め方
受信周波数は、NCOの周波数により決められています。このチューナでは、NCOの周波数はVHDLのソース"const.vhd"の中で指定されているので、DIPスイッチの設定でNCOの周波数を変更できるように、手を入れました。
この回路でA/Dコンバータは73.728MHzのサンプルレートでFM帯の信号をアンダサンプリングしています。すなわちFM周波数帯の信号は73.728MHzの局発で周波数変換されたように見えることになります。
(例) 受信周波数82.5MHz - 73.728MHz = 8.772MHz(A/D変換された信号の周波数)
この信号を、FPGA内部のNCOで生成した局発信号でベースバンドに変換するので、受信周波数はNCOの周波数設定で決まることになります。NCOの動作周波数は73.728MHzで、周波数設定は28ビットなので出力周波数は次の式で決まります。
NCO出力周波数 = 73.728MHz × (周波数設定値)÷ 2の28乗
受信周波数82.5MHzとするためNCO出力周波数を8.772MHzにする場合、
周波数設定値 = (8.772 / 73.728)× 2の28乗 = 31,937,877 <10>10>
となります。31,937,877を16進数で表現すると、1E75555 です。
2.受信周波数とNCO設定値
FMラジオは、都市部なら携帯チューナのイヤホンコードのアンテナでも強力に受信できます。しかし、強力に受信できたとしてもFM変調はアナログ方式なのでビルや山の反射波などいわゆるマルチパスの影響を受け案外キレイには受信できないものです。(よ~く耳を澄ませると、ジュルジュルといったノイズが聞こえるはずです)
理想的には、やはり屋外アンテナやCATV(一部のCATV局はFMも再送信しています)の再送信を受信するのがベターです。そこで今回は、CATV経由でもFMを受信することにします。CATVのFM再送信では、放送局の周波数から少し周波数をずらしている例が多いです。調べたところ当地でもそのようになってました。
局名 放送周波数 CATV再送信 ZIP-FM 77.8MHz 78.8MHz Radio-i 79.5MHz 81.0MHz FM Aichi 80.7MHz 81.7MHz
NHK 82.5MHz 83.5MHz
これらの周波数をボード上の4ビットのDIPスイッチに割り当てます。
DIPスイッチ 受信周波数 NCO周波数 NCO設定値 0000 77.8 4.072 0E238E3 1000 78.8 5.072 119C71C
0001 79.5 5.772 140AAAA
1001 81.0 7.272 1940000 0010 80.7 6.972 1835555 1010 81.7 7.972 1BAE38E 0100 82.5 8.772 1E75555 1100 83.5 9.772 21EE38E 0011 83.0 9.272 2031C71 0111 88.5 14.772 334AAAA
1111 84.7 10.972 2618E38
2009年5月18日月曜日
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