2009年5月9日土曜日

ディジタルFMステレオチューナ つくりました

ディジタル・デザイン・テクノロジ誌に掲載されていたディジタルFMステレオチューナ
を作ってみました。当地名古屋では、NHK FMが82.5MHzで放送されてますので、
あえてソースを修正してコンパイルせずに付属CD-ROMに収録されたjedファイルをそのままFPGAに書き込み、とりあえずアンテナ端子にクリップコードをつないで受信テスト。あっさり動いてくれました。
手持ちパーツの都合で高周波アンプが1段しか実装できなかったこともあり、受信レベル不足のためややノイズ混じりですが、音抜けがよく素直な音質という印象。
育ちの良さ?を感じさせます。








































★主要部品入手方法について
・A/D MAX12554 小売店では見あたらずマキシムから直接入手するしかないようです

・D/A PCM1716 Digi-Key

・光インターフェース TOTX173 共立エレショップ
  手持ちの関係でTOTX172を使用。
  他のモデルでも使用可能でしょうが、手持ちのTORX176はピンアサインが異なり使えませんでした。

・高周波アンプ ERA-3 Mini-Circuits  同じメーカのMAR-6を使用。ただしバイアス抵抗を91Ωに変更。
  ※手持ちが足らず、とりあえず1段のみとしています

・高周波トランス T4-1 Mini-Circuits
  Mini-Circuits製品は、ミニサーキットヨコハマでも買えます。
  私はジャンク基板からの取り外し品を使いました。

・クロックオシレータ 73.728MHz
 一般ではなかなか入手しづらく、どうやら特注するしかないようです。
 もうひとつの方法としては、割高ですがMouserでFOXの73.728MHzのやつが買えます。
 これは表面実装タイプなのでパターンの変更が必要ですが、
 3.3V品でHCMOS出力ですからバッファアンプに直結できそうです。

・74VCX04
 入手先がわからなかったので、とりあえずDigi-Keyで74LCX04のTSSOP版を選びました。
 動いているのでまあ大丈夫なんでしょう。

・チップコイル Digi-Key
 0.12uH3.3uH10uH(8.2uHの代わり)。
 このうち3.3uHはチップの底面にしか電極がないタイプで手はんだしづらかったです。 
 チップ側面の電極が見えているものをおすすめします。

・チップコンデンサ Digi-Keyなど
 概ね2012タイプとしました。
 100pF以下のものは同調用ですので、温度変化で静電容量の変動が少ない
 温度係数C0G, Np0タイプを選ぶ必要があります。
 この回路でそれ以外のものは温度特性にそれほどシビアな使われ方をしていません。

 A/Dコンバータ周りの10uFと4.7uFはta(タンタルコンデンサ)とos(三洋電機のOSコンデンサ)が
 指定されてますが、手持ちの都合でチップ積層セラミックコンデンサを使いました。
 1000pF以上のセラミックコンデンサは、コンデンサ材質の都合上、与える電圧によって大幅に
 静電容量が変化(半減してしまう)するものが多いですが、最近ではあまり変化が少ないものも
 手に入ります。誤差±10%程度のものを選んでおくのが無難です。
 秋月電子でも使えそうなものが買えます。

・電解コンデンサ
 実装写真によると、D/Aコンバータ周りの電解コンデンサは、三洋電機のOSコンやニチコン MUSE
 といったいわゆる”オーディオ用”パーツが使われています。千石電商でも買えます。
 気にしない場合は一般用でも問題ありませんし、低ESRをうたった製品もよいかと思います。
 音声出力部の3000pFは、スチロールコンデンサが使われていますが、手に入りにくいので
 マイラー(ポリエステルフィルム)コンデンサを使うのが一般的でしょう。
 私は手持ちがなく積層セラミックチップコンデンサを使いました。

・チップ抵抗 Digi-Key
 1608タイプの1/10W型を使いました。たとえばPanasonicなど。

・チップ集合抵抗 Digi-Key
 1608タイプの1/16W型、4個入りタイプのRohmを選びました。

・F型コネクタ Digi-KeyAmphenolのものを選んだら基板にそのままはまりました。

・ピンジャック 千石電商の店頭で買ったものがぴったりでした。たぶんこれです。

・DCジャック 秋月電子DCジャックが、そのまま使えました

・3端子レギュレータ TA48033STA48M033F 秋月電子

・高周波コイル FCZ 7S80 共立エレショップ
  ※手持ちが足らず1段目のコイルのみ実装してます

・ピンヘッダ、ピンソケット
  まともに買うと高いので秋月電子で購入しました。
  特にピンヘッダは途中でカットできるのものもあるので、長めのものを買うのがいいです。

・プリント基板
 サンハヤトのポジ感光基板31K型 共立エレショップ
 100mm×100mm ガラスエポキシ片面です。
 紙フェノールなど他の材質では基板が柔らかく、特にFPGAボードを取り付けるときに基板がしなり、
 チップ部品に物理的なストレスがかかるのでおすすめできません。

・DCアダプタ
 DC入力の5Vは、安定化せずにPCM1716や光インターフェースに接続されているので、必ず安定化されたDCアダプタを接続する。過電圧だとICが壊れます。秋月電子でも各種売られています。私は昔使っていた無線LANルータのアダプタがたまたま安定化された5Vだったので使ってます。

★製作時の注意
 A/Dコンバータチップ裏Exposed Padのハンダ付けが課題。私は基板に穴を開けて部品面からPadにはんだを盛る(基板パターンに薄く予備ハンダをしておく)方法をとりましたが、本当にはんだ付けできているのか確認する術がありません。CD-ROM中の文書に記載があるとおり「エポキシ系の導電接着剤」の使用が無難ですが付け過ぎると大変なことになりそうです。
 CD-ROMに入っている、部品配置が書いてあるPDFに記載モレあり。写真ではクロックオシレータのバッファ(74VX04)と、FPGA基板A25ピンとの間にチップ抵抗が挿入されているが、回路図に載っていない。部品配 置PDFにも書いてないので、写真と実物を照らし合わせながら、とりあえず10Ωを実装。クロックオシレータ出力にぶら下がっている12kΩと 10kΩ(R302)も部品配置PDFに載ってないので、忘れずに取り付けること。
 回路図をよく見ると細かいところがけっこう怪しい。あり得ないミスが多いので、回路を知らない編集部の人が書き直しているんでしょうか。結局のところ実装写真と実物をつきあわせて確認するのがベターです。


★FPGAボードの準備
親ボード接続用とJTAGポートのヘッダ、タクトスイッチを取り付けるだけです。
あとコンフィグレーションモード設定用の基板裏面のはんだジャンパHS1をカットしました。


★FPGAへの書き込み
パラレルポート用ケーブルを自作して書き込みに使用しました。
が、現用PCにはパラレルポートがないことに後から気づき唖然。
結局パラレルポートつきPCを探し出して使いました。

書き込みに際しては、雑誌の手順通りにやりましたが
パラレルケーブルが接続されていない旨のメッセージが出ます。
いろいろ設定画面を眺めているうちに
Cable and I/O Setup画面で、"Auto Detect"をクリックすると、デフォルトのLPT port modeは
"BiDir"モードだが、おすすめは"SPP"モードなので変更するかと聞いてきました。
よくわからないので"はい"を選んだところ無事に書き込みできるようになりました。



















★その他
基板上の赤LEDは、A/Dコンバータ過入力時に点灯する。
FPGAボード上の緑LED(DL3)がステレオ受信時に点灯。


★課題
A/Dコンバータが結構発熱します。長時間は触っていられないほどなので何らかの対策が必要。
接続する電源DCアダプタを間違えると過電圧で基板を壊す可能性があるので安定化回路を追加したい。
現状では受信周波数が固定。せめて選局できるよう、オプションスイッチにでも機能を割り当てたい。でも高周波系の同調回路が固定なのでどうしたものか。スルーしてしまうか、やはり周波数固定で使うしかない??
.

4 件のコメント:

  1. こんにちは
    いよいよ基板の配布が始まりました。
    CQ出版のディジタル・デザイン・テクノロジのページをご覧ください。

    Sim

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  2.  お知らせいただきありがとうございます。両面基板で素敵な感じですね。しかもDigi-Keyで入手可能なナショセミのA/Dコンを選択可能です。
     私の主観ですが、このチューナは従来のアナログ式と比較して鮮度が良い音がすると感じています。この頒布を機に、デジタル処理型チューナの裾野が広がること、そしてFMの音の良さが再評価されることを期待しています。

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  3. オーディオ+電子工作20年ぶり です。
    裾野広げの一助としてコメントさせていただきます。
    部品の入手情報を参考にさせていただきました。基板頒布をうけて制作しまして、定位と音のきれいさ(特に高域)にアナログ式との違いを感じています。作れて良かったです。
    ありがとうございます。

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  4. 参考にして頂けたとのこと光栄です。
    私もこのチューナの音には驚きを感じています。スタジオのモニター出力を聞いているような印象というと言い過ぎでしょうか。
    その機能がわずか10センチの自作基板に搭載されてしまうとは、設計者の林氏のご努力と世の中の技術革新にただただ感嘆するばかりです。

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