2020年6月6日土曜日

miniDSP MCHStreamer マルチチャンネルUSBオーディオ: 残念な話

香港miniDSPのUSBオーディオインターフェースMCHStreamer Kitを試してみました。この基板はDACやADCを搭載していませんが、XMOSベースで384kHz入力対応というのがポイントです。ただ今回テストした範囲では192kHzまでしか使えません。ご覧の通り基板の完成度が高いのに残念です。


インターフェース仕様

SPDIF: ステレオ入出力 24bit 44.1~192kHz(光入出力もあり)
I2S: 最大8ch入出力 24/32bit 8~384kHz(⇒ 192kHzだよね!)
TDM8: 最大24ch入出力 44.1~96k
PDM: 最大16ch 24bit 8~48kHz
DSD: 最大8ch出力 DSD64/128/256

ステレオは2チャンネルと数えるので8chはステレオ4系統相当です。電源はバスパワー動作も可能ですが、ヘッダピンから5Vを供給することもできます。

MCHStreamerはクロックマスタで動作します。I2Sクロック MCLK, LRCLK, BCLK はすべて出力なので、接続するADC/DACはスレーブモードで動作させることになります。

対応できるサンプルレートは、動作モードにより違いがあります。384kHz対応は、AllRate(入出力)、Oi2o_DSD(PCM出力)、Oi8o_DSD(PCM出力)の3つ。そのちI2S入力に対応するのはAllRateのみです。


Windowsで使用する

miniDSPのユーザダウンロードページからWindowsドライバ(ASIO)をダウンロードし、MCHStreamer KitをUSB接続した状態で、ドライバのsetupファイルを実行します。すると、基板のデフォルトであるI2S_TOSLINKファームウェアが有効になっているので、I2S 8chとTOSLINK 2chの計10ch、44.1~192kHzが使えます。


さて、とりあえず動作試験をしたいところ、9/10チャンネルにアサインされているトスリンクから音を出そうとしましたが、WaveGeneでは8チャンネルまでしか選べないし、良いツールが見当たりません。そこで付属の更新ツールminiDSPUAC2Dfuを使いファームウェアをTOSLINK_Onlyに差し替えて、TOSLINKを通じての動作確認ができました。


今回は、I2S 384kHzを使えるようにしたいのでファームウェアをAllRateに変更します。ただI2Sの対応デバイスがありませんから、とりあえずI2S入出力を直結してループバック動作させることにしました。

ところが、WaveSpectra(他のソフトでも)では192kHzまでしか使えません。



念のため、Oi2o_DSD/Oi8o_DSDファームウェアに変えたところ、384kHz出力はできますが入力は非対応です。



これは、おかしいとサポートに問い合わせたところ、次の回答が届きました。

  • AllRateは、パケットサイズがUSBリンク速度を越えるため、384kHz 8chをサポートしていない
  • 384kHz 2ch 双方向オーディオには対応していない

ええー!?と驚きです。資料では384kHz双方向で使えるかのように書いてあるのですが、現状で使えそうもありません。
いちおうLinuxでも試してみたところ、ラズパイ4でドライバを追加することなくASIOで使用できます。ただ、AllRateファームウェアでのループバック動作はやはり192kHzまででした。

サポートは、USBリンク速度の制約を受けていると言っています。オーディオの転送レートは、32ビット×384ksps×8チャンネル×2双方向=196.608Mbsとなかなかのものです。もしUSBの接続速度がそれ以下なら、ぜったい通りません。UsbTreeViewでUSBインターフェースの接続状態を確認したところ、High-Speed(480Mbps)で接続ですから大丈夫のはずです。


High-Speed接続なのに、なぜリンク速度が不足するというのか、詳しい方に尋ねてみたところ、ドライバのディスクリプタの書き方次第で上限が変わるらしいんですね。何か物理的な制約があるのか、何らかの事情があってソフトを頑張っていないのか、外野からは知る由がありません。とはいえ、384kHz対応と謳うくらいであれば、この製品のようにチャンネル数を削減して384kHz双方向通信ができるドライバをリリースしてほしいものです。

マルチチャンネル

マルチチャンネルデバイスは使ったことがなく、Windowsからどのように見えるのか興味津々でした。画面コピーを貼り付けておきます。

コントロールパネル ⇒ サウンド
再生タブ(スピーカー MCHStreamer Multi-channels)



録音タブ(ライン MCHStreamer Multi-channels)


スタートメニュー ⇒ miniDSP Ltd ⇒ miniDAC UAC2 Control Panel



2020年5月12日火曜日

CYC1000 Cyclone10 LP FPGAボード

安いので目的もなく買ってしまいました。Cyclone10 LPとUSB書込器が載っています。FPGAの規模はDE0nanoと同じくらいでしょうか。製品はTrenz ElectronicのTEI0003をArrowが販売しているように見えます。公式ドキュメントはこちらにあります。



概要

  • 25K LE FPGA (Intel 10CL025YU256C8G)
  • Arrow USBプログラマ (FT2232H-56Q) ※UARTとしても使用可
  • コンフィグメモリ 16Mbit FLASH (EPCQ16SI8N)
  • 64Mbit SDRAM (W9864G6JT-6)
  • (Arduino)MKRヘッダ
  • (Digilent)PMODヘッダ
  • プッシュスイッチ2個 リセット/汎用 各1個
  • 赤色LED8個
  • 3軸加速度センサ (LIS3DH)
  • MEMSオシレータ 12MHz (DSC6011ME2A-012.0000T)


ピンアサイン

GPIOは、GPIO0-24とPmodコネクタのI/Oも含めれば33本あります。ただし、GPIO0はGPIOの入力リファレンス電圧供給用端子も兼ねていて0.1uFが並列接続されています。


Pmod端子で面食らったのが、ピン番号の配置です。よくあるヘッダピンの数え方と同じと思っていましたらドキュメントとの整合がとれず困惑しました。Digilent Pmod Interface Specificationよりピン配置を示します。

2020.5.24追記
Pmod端子は、ハーフピッチずれています。ここにヘッダピンを実装するとブレッドボードに差し込めなくなる場合がありますからご注意ください。

電源

電源入力は、ヘッダピン(J2 13pin)5Vを優先にてmicroUSBコネクタ VBUSと自動切替されます。この5VはJ2 14pinから取り出せるほか、オンボードのスイッチング電源 EP53A7HQI で降圧された3.3VがJ2 12pinに接続されています。
なおスイッチング電源の発振周波数は5MHzです。ノイズ輻射はいかに?

Lチカを試す

オンボードのArrow USBプログラマを使うためドライバをインストールします。
  • CYC1000をWindows PCに接続し、FTDI USBドライバがインストールされているか確認するため、デバイスマネージャを開きます。次のデバイスが認識されていなければD2XXドライバをインストールします。

ユニバーサル シリアル バス コントローラー
USB Serial Converter A
USB Serial Converter B 
ポート(COMとLPT)
USB Serial Port (COM ??)


無事Quartusから認識され、書き込みもできました。




LEDが眩しい。3.3V/100Ωと電流流し過ぎかもです。

2020年5月9日土曜日

SA9227 USBオーディオで384kHzハイレゾ再生

『SA9227+PCM5102A 32BIT/384KHZ USB DAC/HIFI Asynchronous Decoder』と称する中華USBオーディオ基板を動作させてみました。ebayで購入してお蔵入りしていたもので今更感がありますが、なかなか良いものです。


Windowsドライバのインストール

SA9227用のものを探してみました。Savitech SA9227 driverをインストール後に基板を接続します。コントロールパネル ⇒ サウンド ⇒ 再生タブ ⇒ HD USB Audioのプロパティでサポートされる形式 タブにてすべてのサンプルレートにチェックを入れます。



ドライバとともにBRAVO-HD Audio CPLというアプリがインストールされているはずです。アプリ上部はUSBオーディオの既定値を示しています。下部はマウスで設定でき、ビット深度は次回再生開始から有効となりますので再生するビット深度より大きくしておきます。最下部の赤字はステータス表示です。


WaveGeneからトーン信号再生

WaveGeneをASIO 384kHz 32bitとしてトーン信号を出力してみます。


ハイレゾ音源を再生

あいにく手持ちには384kHz音源がありません。フリーの波形編集ソフトウェアHi-Res Editorを使ってCD音源等を384kHzに変換します。このソフトはDSD 11.2MHz/PCM 384kHz 32bit、ファイル形式wav/dsf/dffにも対応しています。


Hi-Res EditorはASIO対応で再生も可能です。リアルタイム変換もできるようですが、当方の環境では音が途切れてしまうので、いったん384kHzにファイル変換してから再生します。


基板の回路図

入手当時、SA9227にI2S入力をできないかなと基板の回路図を書いていたようです。その後、EEPROMの設定(要NDA)が必要とわかりお蔵入りしていました。半ば想像図のはずです、そのつもりでご覧ください。なお、USBバスパワーでの基板の消費電流170mAでした。


2020年5月6日水曜日

ラズベリーパイでradikoラジオをつくる: その14 ケースに入れて完成


ケースに収納

ケースに入れて日常使いできるようになりました。手元のメモを調べましたら、2019年4月に資料集めを開始していましたので、足かけ1年での完成です。
今回は、市販のプラスチックケース使って、加工アラを目立たせにくく、かつ見栄え良く仕上げることを意識しました。まずベースとなるケースには、パネル面に段差がなく、かつ側板を取り外して加工ができるタカチのPFケースを選びました。そもそもタカチを選んだのは、有料で穴開け加工を請け負ってくれるからなのですが、後から見積もりをとったら予算オーバーとなり目論見が外れてしまいました。その後、紆余曲折あり工作名人F氏の好意に甘え、加工をお願いすることになりました。


仕上げとしてパネル全面をアクリル板で覆う設計としています。アクリル板の加工は専門会社が比較的低コストで受託してくれますから、パネルだけは製品品質を追求できます。副次的な効果として、プラスチップケースに貼り付けたシール紙やテプラを保護できますし、プラケースの加工アラを目立ちにくくできます。アクリル板の加工は、はざいや に依頼しました。Web画面で加工位置を入力すると図面まで表示される驚異の自動見積システムを備えています。(2020年5月現在、コロナ禍の影響で自動見積もりは運用中止)


ケース内部は、このような感じです。F氏の発案で秋月の50円スピーカを内蔵しています。まさに「ラジオの音」が出ます。


私は、ふだん内蔵スピーカを使用せず、外部スピーカに接続しています。スピーカ上部のハンドルはカインズホームの鋳物取手です。


さらにradikoラジオをスピーカ上部にマジックテープで固定しました。


謝辞

最後になりましたが、マルチスレッドプログラミングのヒントを頂いたb様、加工・バグ出し・操作性の向上に協力をいただいたF様・H様、そしてWeb上に有用なソフトウエアを提供してくださっている皆様に感謝を申し上げます。

2020年4月29日水曜日

ラズベリーパイでradikoラジオをつくる: その13 基板を再作成



前回作成した基板は、スイッチの高さが不揃いだったので基板を再作成しました。ついでに、当時国内版が発売されたばかりのラズパイ3A+対応とその他の改良を盛り込みました。

・プッシュスイッチをオムロンからAPEMに変更
・Raspberry Pi 3 Model A+を搭載できるようスーパーキャパシタ品の位置を変更
・ロータリエンコーダを基板取付形/スイッチ付きに変更
・チャタリング防止用のコンデンサ追加
・スーパーキャパシタのUVLO用パワースイッチを省略
・電源のオフディレイタイマー設定のジャンパピンを省略
・オーディオD/Aコンバータのミューティング回路接続を省略
・フォーンジャックの品種を変更
・試験用UART接続ピンの引き出し
・その他、細かな修正

回路図も変更になっています。



ただ1点、課題が残りました。
3台製作したうちの1台でスピーカ出力がプツプツと途切れることがありました。まるでデジタルアンプPAM8304が誤動作してシャットダウンを繰り返しているかのようです。しかもそれは基板ごとの個体差があること、USB ACアダプタの電源電圧が高めの場合に影響があることがわかっています。それでも、いろいろ手を尽くしてみたのですが、どうにもよくわかりません。仕方なく対症療法としてPAM8304を交換したり、USB ACアダプタを選別することで対応することにしました。

2020年4月26日日曜日

ラズベリーパイでradikoラジオをつくる: その12 HLS形式に対応するradiko受信スクリプト

radikoウェブサイトに『Adobe Flash サポート終了』と衝撃的なお知らせが出ていました。受信スクリプトはまさにFlash形式を使用していますので、後継となるHLS形式に否応なく移行する必要が出てきました。


HLS対応のスクリプトはWeb上でいくつか発表されています。その中でも、エリアフリー対応で単一のファイルで構成されている radish を選定しました。radish は、NHKラジオ らじる★らじるやListenRadio等で現在配信中の番組を保存するシェルスクリプトです。
まずは、radishの実行に必要なアプリをインストールします。
$ sudo apt install libxml2-utils
$ sudo apt install ffmpeg
$ sudo apt install jq

次に、GitHubからダウンロードしたスクリプトファイル radi.sh を/home/pi/radikoに置き、スクリプトの録音ルーチンを再生できるように書き替えます。(赤字部分)
# Record
if [ "${type}" = "radiko" ]; then
   ffplay \
      -nodisp -loglevel quiet \
      -headers "X-RADIKO-AUTHTOKEN:${radiko_authtoken}" \
      -i ${playlist_uri}

elif [ "${type}" = "shiburadi" ]; then
   ffplay \
      -nodisp -loglevel quiet \
      -i ${playlist_uri}

else
   ffplay \
      -nodisp -loglevel quiet \
      -i ${playlist_uri}

fi

このスクリプトの使い方は次の通りです。
radikoで地元局(この例ではTBSラジオ)を受信する場合
$ cd ~/radiko/
$ ./radi.sh -t radiko -s TBS
radikoプレミアムのログイン情報を付加するとエリアフリー受信ができます。次の例では、北海道のHBCラジオをエリア外で受信します。
$ ./radi.sh -t radiko -s HBC -i “taro@mail.jp” -p “password”
NHKらじる☆らじる にも対応しています。NHKはエリア制限が無いようで、エリア外からでも受信できました。
$ ./radi.sh -t nhk -s tokyo-r1
赤字で示した放送局IDやメディア記号は、次のコマンドで知ることができます。(radishはシンプルなのに多機能です!)
$ ./radi.sh -l
ところで、再生にmplayerを使う場合、スクリプトの実行開始から放送の聴こえ始めまで10秒程度かかりますが、ffplayでは2秒程度です。しかも音切れもなく安定しており言うことがありません。素晴らしい!

2020年4月24日金曜日

ラズベリーパイでradikoラジオをつくる: その11 Wi-Fi設定をパネル操作で行う

Wi-Fiやradikoエリアフリーなど各種の設定をパネルスイッチ操作で行えるようにしてみました。以下にサンプル画面を示します。地味な画面ながらプログラミングはとっても手間がかかりました。


Wi-Fi設定
一筋縄で行かなかったのはWi-Fiの切替でした。当初、nmcliコマンドを使おうとしましたが、思うように動いてくれないところがあり、結局 wpa_supplicant.conf の書き換えで対応しました。
処理の流れとしては、1アクセスポイント探索、2接続先を選択、3パスフレーズ入力、4アクセスポイント接続とステップを踏んでいきます。

まずscanコマンドでアクセスポイント探索を開始します
$ sudo wpa_cli -i wlan0 scan
そして結果が得られるまで scan_resultsがOKを返すのを待ちます。Raspberry Pi 3A+で5秒ほどかかります。
$ sudo wpa_cli -i wlan0 scan_results

scan結果を画面に表示させたところです。現在接続中のアクセスポイントを赤字で表しています。さらに、近隣のアクセスポイントも表示され、なかなか興味深いです。

接続したいアクセスポイントにカーソルを合わせて選択すると、Wi-Fiパスワードの入力画面を表示します。

選択したアクセスポイントとパスワードをwpa_supplicant.confに書き込み、wpa_cliコマンドにより再読込すると設定変更が反映されます。コマンド発行後、しばらくすると新たにDHCPサーバからIPアドレスが付与されインターネット通信が有効になります。
$ sudo wpa_cli -i wlan0 reconfigure
これらの設定画面により、PCに接続することなく自宅Wi-Fiや携帯テザリングなどの切り替えを自由にできるようになりました。

radiko設定
放送局プリセットは全県分を作成しました。エリア選択画面をもうけ、県別の放送局プリセットを選べます。radikoのエリアフリーのログイン情報を登録すれば、各県の放送局を自由に選んで聴くことができます。