2011年4月16日土曜日

FPGA FMトランスミッタ: スイッチング電源のノイズ、PSRR

部品を実装しました。両面基板と言っても部品実装穴は開いていても部品面とはんだ面の接続は自分でやらなくてはいけないのでとっても面倒です。





写真では、作業用にスペーサを取り付けています。銅箔に触らないよう手袋をはめて作業しているほか、酸化防止のため銅パターン部分に無洗浄タイプのフラックスを塗っています。ただ無洗浄タイプとはいえ酸化防止目的に使うのは良くないと思っています。

実装しながら、AtmelのATtiny85のサイズが想定とは違うことに気がつきました。SOIC8なのでOPA2353と同じサイズと思っていたところ、ATtiny85の方が幅が広いです。これは確認不足ですね。幸い、実装時に工夫してそれほど無理なく取り付けできました。

もう1点、変更点があります。オペアンプとオーディオコーデックのアナログ系に5V電源を供給するラインにLDOレギュレータNJM2845DL1-05を追加しています。当初は、スイッチング電源モジュールの5V出力をそのまま供給する前提でしたが、ノイズが多く適切ではないだろうと気がついたからです。
NJM2845は、LDOとはいえ入出力の電圧差が0.18V必要です。そこで、スイッチング電源モジュールをイーター電機工業のBNS05SA-Uに変更しました。このモデルは、出力電圧を5.5Vまで可変できます。

ところで、BNS05SA-Uのノイズは仕様書によると80mVp-pでスイッチング周波数は66kHzとあります。ノイズについてはよく知りませんが、66kHzを基本波として広帯域でノイズが出ていて電源ラインを揺さぶられていることになるのかなと想像しています。
オペアンプ等には、電源電圧がノイズで変動しても出力電圧を保つ機能があり、その性能を電源電圧変動除去比(PSRR; Power Supply Rejection Ratio)で表します。

まずLDOのPSRRは、次のグラフの通り負荷電流によっても変わりますが66kHzで50dB以上の性能を持っています。LDOでノイズは80mVp-p×(-50dB)=0.25mVp-pに低減されます。


次に、MPXコンポジット信号出力部のオペアンプOPA2353に着目します。PSRR特性は次のグラフのようになっていて66kHzでは約73dBです。ノイズ電圧は0.25mVp-p×(-73dB)×増幅率(2.0/1.6)=0.07uVp-pとなります。コンポジット信号のレベルは2Vp-pですから、ノイズとのレベル差は149dBです。S/N比は実効値で測定するので正確ではありませんが、概算値としてみても問題にならないと考えます。


続いて、オーディオコーデックCS4270についてです。データシートには、1kHzでのみ規定があり55dBとなっています。66kHzの特性は不明ですが、仮に30dBとすると電源のノイズは、オーディオコーデックの出力端子で0.25mVp-p×(-30dB)=7.9uVp-pとなります。出力端子での信号レベルは1.6Vp-pですから両者のレベル差は106dBとなり、問題にならないと考えます。

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