2010年1月25日月曜日

ルビジウム発振器(5): なぜ波形が歪むのか


 原因がわかりました。情けないことに測定ミスです。


 オシロのプローブの電圧倍率設定スイッチがずれていて、表示だけ実際の10分の1になっていました。そりゃ、歪むのも当たり前。10Vp-p以上の振幅が出ていたわけです。電力で言えば0.25W以上。ちょっとしたパワーアンプ状態です。そういえばICが暖かかった。

 当初は、波形が歪むのはスルーレートが不足しているせいだと思い込んでいましたが歪みは方形波状。よく考えてみたらスルーレート不足なら三角波になるはずだから違う。方形波なら飽和しているはず。でも電源電圧が24Vもあるのに飽和するのは変だ、ということで再度測定してようやく気付きました。
 今回使ったアンプは電流フィードバック型。フィードバック抵抗の値によって特性が大きく変わると言うことで、スルーレートの検討も途中までやったのでメモとして残しておきます。


スルーレートの計算

 オペアンプの出力で必要な出力電圧を考えます。インピーダンスマッチングのためオペアンプ出力に挿入する50Ω抵抗と、アイソレーション・トランス(電圧損失約4%)に50Ω負荷を接続して電圧がドロップします。実測値から類推すると、負荷に0.5Vrms(1.41Vp-p)を与えるのに必要なオペアンプの出力電圧は、1.41Vp-p×(0.83/0.4)=2.9Vp-pが必要になります。

 この電圧を出力するのに必要なスルーレートを求めてみます。Webにわかりやすい解説記事(マッチィ先生の楽しい勉強会)があったので参考にしてみます。この記事によるとV・sin 2πftの正弦波信号のスルーレートは微分すれば求められると言うことで、2πfV・cos 2πftより、波形の傾斜の最大値は2πfVとなります。従って10MHz出力のスルーレートは、π× 10×10^6[Hz] × 2.9[Vp-p] = 9.1×10^7 [V/sec] = 91 [V/μsec] となります。


その他
・オペアンプの出力には、50Ω負荷とフィードバック抵抗がぶら下がっています。
 50Ω負荷には、ピークで1.41Vp-p/2/50Ω=14mA流れます。
・従来の電圧フィードバックオペアンプではフィードバック抵抗に並列に
 位相補償用に帰還コンデンサを並列接続する場合が多いですが電流フィードバック型
 オペアンプではかえって発振の原因になってしまうそうです。


回路図
 そういうわけで、全体のレベル関係を見直しました。と、言ってもオペアンプのゲインを出力レベルに合わせて変更しただけです。出力レベルですが、どうも変動が大きいような気がします。20%くらいは変動している?温度変化、どこか接触が良くないところがある?ケースに収納して様子を見る必要がありそう。


全体回路図(改)


基板パターン
 簡単な回路ですが、基板を起こしたほうが結果的にはラクでキレイに仕上がると思います。下のパターン図では、コンパレータの電源ピンと電源ラインとの接続を忘れています。実機ではジャンパで対応しました。

基板パターン図

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