2010年3月28日日曜日

ヘッドホンアンプ: 入出力信号レベル

 ヘッドホンアンプを作るのに、まず考え込んだのは信号レベルをどうするかです。製作するには何らかの指標が必要ですので少し調べてみることにします。


ライン信号レベル
 アナログ入力は、数少ないチューナ等のアナログソースや自作D/Aコンバータ等の比較試聴のために設けておきたいと思います。
 オーディオ機器のライン信号レベルは、共通の規格があるのかわかりませんが、機種によってバラバラという印象を持っています。主な機種の仕様を調べてみました。

  CDプレーヤ   プリメインアンプ
  チューナ

 やはり製品毎にバラバラです。特徴としては、CDプレーヤの2Vに対し、アンプの入力は0.2V前後とかなり低くなっています。アンプの入力が低いのは、後述の通り、ボリュームを絞り込んだ状態で適正音量とするためだと思います。一方、CDプレーヤとチューナとで差が大きいのは、CDは最大レベルが決まっているデジタルメディアであること。チューナは最大レベルが必ずしも厳密ではない、アナログメディアであることが理由にあるものと推測しています。もちろんアナログとはいえ基準レベルは存在していますが、例えばカセットテープなどではボリュームを上げれば(音質はともかく)基準レベル以上の大きな音を記録・再生可能であるという意味です。


ヘッドホン出力信号レベル
 ソニーのMDR-CD900を常用しています。CDの音楽を妥当な音量で再生させたときの、ヘッドホンの端子電圧は0.65Vp-p(0.23Vrms/o dBFS)でした。
 他の市販品の仕様も調べてみましたがやはりバラバラですね。
  • AKG K701 インピーダンス62Ω、感度93dB SPL/mW、最大入力200mW
  • beyerdynamic DT990 PRO インピーダンス250Ω、感度96dB/mW、最大入力100mW
  • SENHEISER HD465 インピーダンス32Ω、感度110dB(SPL)
  • SENHEISER HD595 インピーダンス50Ω、感度112dB(SPL)
  • ソニー MDR-CD900 インピーダンス63Ω、感度106dB/mW、最大入力1W
 ここでSPL(Sound Pressure Level)は、音圧レベルを示しています。SENHEISERの仕様には、感度110dB(SPL)としか書いてありませんが、他社と同様に1mW入力時の音圧レベルを表しているものと推測されます。
 次に同じ端子電圧を与えたときの音圧差を考えます。感度の数値が大きいほど大きな音が出るので、CD900を基準としたとき、HD595は6dB(大きい)、DT990 PROは-10dB(小さい)となります。また、感度の数値は1mWの場合なので、インピーダンスにより電力に差が出ます。電力はインピーダンス値に反比例するので、CD900を基準としてHD465は63/32=1.97(2.9dB大きい)となります。これらをまとめると、下表の通りHD595は7dB大きく、逆にDT990 PROは16dB小さくなります。SENHEISERのように感度が高いぶんには、ボリュームを絞れば済みますが、AKGやbayerdynamicはとてつもなく感度が低いので、本気で対応させるならボリュームだけではなく、スイッチ等でゲインを切り替えるようにする必要がありそうです。

ヘッドホンの音圧差


音量ボリュームレベル
 オーディオ機器の音量調整用ボリューム(可変抵抗器、ポテンショメータとも)としては、一般的にAカーブ(抵抗変化特性が対数型)のものが使われます。実例として、アルプス電気のオーディオ用可変抵抗器RK27シリーズの仕様書によると、抵抗変化特性(カーブ)は15Aで、全回転角度300度となっています。抵抗変化特性(カーブ)グラフによると、単にAカーブといってもひとつだけではなく複数あるようです。(知らなかった!)
 次に、実使用時にボリュームでの減衰量を考えてみます。アンプを使うときの音量つまみの位置は、経験的に9時~10時としたときに適正音量と感じる場合が多いように思います。ここで10時の位置は、ボリュームの全回転角度のうち90度/300度=30%に相当します。これは先ほどの抵抗変化特性グラフによるとボリュームの出力電圧は入力の約8%(-22dB)になることがわかります。

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