仕組みが同じなのに、大きくて性能がよいはずの私の自作ループアンテナの性能がもうひとつなのは何か間違いを抱えているせいなのではと勘ぐってしまいたくもなります。
アンテナの性能を示す評価基準のひとつに、アンテナの利得(ゲイン)があります。電界強度が同じであれば、利得が高いほど大きな受信電力を取り出すことができます。ループアンテナの特長の一つとして、利得(ループアンテナでは実効高を評価)を計算で導くことができるという点があります。
この特長を利用して、期待される受信電力と実際の受信電力を比較して自作ループアンテナがどれだけ不出来なのかを調べてみたいと思います。
前回、スペアナで受信電力を測定しましたが、肝心の電界強度は測定器がなくわかりません。電界強度は、周辺状況により大きく変わるので専用測定器を使わなくては実際のところはわかりません。しかし、それでは始まりませんので概算値を求めてみることにしました。
電界強度の予測
電界強度の計算には送信アンテナの利得などの詳細を知る必要がありますが、便利なことに電波法に計算方法の規定があります。
(注)AMラジオ放送(中波)の電波の伝わり方には大別して2種類あり、昼間は送信所から発射された電波は地表に沿って伝わる(地表波;地上波)だけですが、夜間になると地表波に加えて上空の電離層によって反射されるようになるため遠方まで届きます。
電波の伝搬路が均一路(大地定数が全伝搬路を通じ一定である伝搬をいう)の場合の電界強度は、次式により算出する。
ただし、受信点電界強度 E [mV/m]、空中線電力Ptが1kWのときの均一路の大地定数に対する電界強度 E0 [mV/m]、有効輻射電力 Pe、空中線見かけ効率 Gη、空中線指向性係数 Dθ。
伝搬路の大地の導電率および比誘電率
空中線電力ごとの空中線見かけ効率の指定値
電界強度の予測例
告示では、上記のパラメータを使い伝搬路の大地の導電率や比誘電率の異なる山岳地帯、丘陵地帯、平野地帯、海上地帯ごとに距離による電界強度グラフを示し、受信点での電界強度を読み取るようになっています。グラフそのものは、リンク先にて確認願います。
告示では、上記のパラメータを使い伝搬路の大地の導電率や比誘電率の異なる山岳地帯、丘陵地帯、平野地帯、海上地帯ごとに距離による電界強度グラフを示し、受信点での電界強度を読み取るようになっています。グラフそのものは、リンク先にて確認願います。
さて、当地での計算例を示します。
計算対象は、NHKラジオ第一放送(594kHz)です。当地は埼玉県久喜市の送信所から約50km離れており、送信所までの地形は平野ということにします。(厳密にはおそらく違いますが、概算ですので)
計算条件
・周波数: 594kHz
・送信出力Pt: 300kW(NHK Webページ)
・空中線見かけ効率Gη: 130%(表より)
・空中線指向性係数 Dθ: 1(無指向性と仮定)
・伝搬路の区別: 平野地帯
・送信所までの距離; 50km
ここで告示640号の別表第3図(平野地帯;σ=5, εr=15)のグラフから50kmでの電界強度を求めます。上下の2グループのグラフが描かれていますが、上が距離0.2~20km。下がその100倍の20km~となっています。このグラフから距離50km、周波数594kHzのとき、電界強度は2mV/mであることが読み取れます。
最初に出てきた式にあてはめると、グラフから読み取った電界強度は、空中線電力1kW、空中線見かけ効率100%の場合ですから、まさに電界強度 E0 [mV/m]そのものです。なので空中線電力1kW、空中線見かけ効率100%に対するPeの差分がわかれば電界強度を求められます。
従って、空中線電力1kWに対するPeの差分は、見かけ効率130%×指向性係数1×送信出力300 = 390 より、電界強度 E は2 [mV/m] ×√390 = 39.5 [mV/m] (92dBμV/m)
建物近くでの減衰
上記の予測では、建物の影響を無視しています。イメージ的には、建物がない田んぼや平原がぴったりかもしれません。AMラジオの波長は長いので電波伝搬路の途中に少々の建物があってもマクロに考えれば無視できるのかもしれませんが、それでも近隣に鉄筋コンクリート造のあれば少なからず影響を受けていそうです。
当家の例では、ホイップアンテナをベランダ手すりから30cmほど突き出して取り付けていますが、取り付け位置を左右に3mほどずらしただけで受信に数dBの差が出ました。また建物の中では著しく受信が難しくなることから、(1)自分の建物に近接することによる損失、(2)ベランダが送信所に対面していない回折損、(3)近隣の建物の影響による遮へい損、などなどによって予測値(理論値)よりさらに減衰しているはずです。その減衰量としては、10dBというと大きい感じがしますので根拠なしの感覚値6dBと予想しています。
上記の予測では、建物の影響を無視しています。イメージ的には、建物がない田んぼや平原がぴったりかもしれません。AMラジオの波長は長いので電波伝搬路の途中に少々の建物があってもマクロに考えれば無視できるのかもしれませんが、それでも近隣に鉄筋コンクリート造のあれば少なからず影響を受けていそうです。
当家の例では、ホイップアンテナをベランダ手すりから30cmほど突き出して取り付けていますが、取り付け位置を左右に3mほどずらしただけで受信に数dBの差が出ました。また建物の中では著しく受信が難しくなることから、(1)自分の建物に近接することによる損失、(2)ベランダが送信所に対面していない回折損、(3)近隣の建物の影響による遮へい損、などなどによって予測値(理論値)よりさらに減衰しているはずです。その減衰量としては、10dBというと大きい感じがしますので根拠なしの感覚値6dBと予想しています。
参考資料
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