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2017年4月24日月曜日

地上デジタル放送のパイロット信号




地デジのパイロット信号のことがブログ記事に書かれていました。地デジのスペクトルは、台形の形をしていてスペアナでズームアップしてみてもノイズのようなものが見えるばかり。ほんとうにそれが見えるのか試してみました。
スペアナを所定の周波数にセットしてズームアップすると、13chの台形スペクトルの上端にそのパイロット信号らしきモノが見えます。アベレージングをかけると確かにキャリアが浮かび上がってきました。








ARIBの標準規格 STD-B31 地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式 を紐解いて頑張って調べたところ、これはCP(Continual Pilot)という受信機の同期・復調用の信号だとわかりました。(ARIBの規格書、以前は自由にダウンロードできたのに今は有料になってます)さて、前述のブログ記事には、
上端パイロット信号は公称周波数+39/14MHz(+2.785714MHz)
とあります。これをARIBの規格書で調べてみましょう。
地デジのキャリア総数は5617。上端のキャリアは地デジの公称周波数から高い方へ(5617-1)/2 = 2808本目。
ここで地デジのセグメント帯域幅は6MHz/14≒428.571kHz。キャリアの周波数間隔はセグメント帯域幅の432分の1なので、428.571kHz/432≒0.992kHzです。
つまり上端キャリアの周波数は、地デジの公称周波数から (6/14) / 432 × 2808 = (39/14) [MHz]高いということで、元記事と計算が合いました。
ところで、地デジの公称周波数は物理チャンネルの中心周波数より 1/7 [MHz] 高くオフセットがかかっているので上のスペアナ画面のように 物理チャンネル13ch(中心周波数473MHz)の場合、上端パイロットの周波数は、473 + 41/14 = 475.928,571,4... [MHz] となります。
次にパイロット信号を拡大すると左側に2本のキャリアが見えてきます。それぞれセグメント番号12 キャリア番号422と425のAC(Auxiliary Channnel)信号です。AC信号は、変調波の伝送制御に関する付加情報または地震動警報情報の伝送に使われるそうです。
左側と真ん中のキャリアの周波数差は0.992kHz×3=2.976kHz。
真ん中とパイロット信号の周波数差は0.992kHz×7=6.944kHzとなるはずですが、スペアナ画面のマーカー値とは微妙に違いますね。FFTビンの都合で少しズレて見えているのかも(想像)です。
CPは連続キャリアでBPSK変調、ACはDBPSK変調されていて、信号レベルはそれぞれ同じのようです。






2013年4月13日土曜日

RTX100A 地デジ信号ジェネレータ

テクトロニクス社 RTX100A は、地デジ信号発生器として当時ではコンパクトな部類の測定器です。それに MPEG 信号の記録/再生機能もついていて遊べそうです。とりあえず出力される RF 信号がどんなものか測ってみました。


出力レベル

高調波

MER特性

この測定器、ご覧の通り特性を追求しているというわけでもなく、製造ラインに組み込むような風貌でもありません。コンパクトサイズを生かして、RF 特性を重視せずにすむ CATV 向けセットトップボックスの開発現場で1人1台ずつデスクに置いて使ってください、みたいなコンセプトなんでしょうか。

2013年4月11日木曜日

スペアナで地デジのレベルを測る

地デジの測定器も中古品はすでに価格下落方向にあり、使い道があるわけでもないですが地デジ信号アナライザMS8901Aや簡易型の信号発生器RTX100Aなどを入手してしまいました。
入手した個体は校正切れで、動作確認として信号発生器(これも校正期限切れ)を接続して測定してみます。
ファーストステップとしてレベル測定だろう、と地デジ IF 信号 37.15MHz -10dBm を「ISDB-T 電測ソフトウェア」のチャンネルパワー表示で見たところ -10.38dBm と妥当な結果となりました。

チャンネルパワー(ISDB-T 電測ソフトウェア)


次に、スペアナ画面でチャンネルパワー測定機能で測り、同じ結果となるか確認します。
スペアナの測定パラメータは、JEITA のデジタル放送技術セミナー資料に合わせてみます。
SPAN = 10MHz
RBW = 30kHz
VBW = 300kHz
Detection Mode = Sample
BW = 5.6MHz

画面の数値がパラパラとばらつくので Display メニューから Storage - Average としてアベレージングをかけたところ、-13.1dBm と 3dB 低い数値になりました。これは変です。

チャンネルパワー(Display メニューで Average)

アベレージングを解除すると数値はばらつくものの、-10.3dBm 付近を前後していることに気がつきました。

チャンネルパワー(Average なし)

正しい数値を安定して表示できないか試行錯誤の結果、2種類の設定方法があることがわかりました。まず Display メニューから Storage - Linear Average としてリニア・アベレージングをかける場合です。スペクトラムが方形になり、教科書に出てくる OFDM 信号のようです。

チャンネルパワー(Display メニューで Linear Average)

そして Measure メニューの Channel Power の設定メニューで Average を指定する場合です。このとき波形は変わらずに数値の指示だけが平均化されます。スペクトラムはノイズっぽく見えますが、実際はこういう波形なんでしょうね。

チャンネルパワー(Measure メニューで Average)


どうやら Average と Linear Average の設定に大きな違いがありそうです。
取説には次のように書かれています。

Average
掃引ごとに、各X軸のポイントにおいて、平均化の演算を行い、その結果を表示します。S/Nの改善に用います。

Linear Average
Averageと同様に平均化の演算を用い、その結果を表示します。ただし、平均化演算はリニア値に変換した値に対して行います。


そうです、この説明を見て思い出しました。デジベル値の平均をとるには、実数に戻してから平均をとって、その結果をデシベル(対数)に戻さなくてはいけなかったのです。

これらの結果から、設定に配慮すればチャンネルパワー測定機能で正確に地デジのレベルを測れるであろうことがわかりました。

2012年3月2日金曜日

マルチメディア放送NOTTVの試験電波

NOTTV(ノッティーヴィー)は、2012年4月に開局するスマートフォン等の携帯端末向けの有料放送局です。放送内容については、運営会社mmbiのwebに詳しいです
4月の放送開始に先立ち東京スカイツリーから発射された試験電波の波形をスペアナで見てみました。放送方式はISDB-Tmmといい地デジのISDB-Tを発展形で周波数は207.5~222MHzを使用しています。




ところで共同アンテナの50~250MHzの様子です。VHF-TVは見あたらなくなって寂しいですね。


(参考リンク)
株式会社mmbi
ケータイWatch - 携帯マルチメディア放送「NOTTV」、月額420円に
総務省 - 携帯端末向けマルチメディア放送システムISDB-Tmmの概要
ARIB - ARIB STD-B46 移動体・携帯端末向け地上マルチメディア放送のセグメント連結伝送方式

2009年11月28日土曜日

地デジ測定器を動かしてみる(4)

 中国では地デジのことを『数字電視地面広播』というそうです。そのまんまですね。

 さて、OFDM変調器の出力周波数は37.15MHzでしたがUHF TV帯へのアップコンバータがないので、代わりにR&Kのダブルバランスドミキサと信号発生器で周波数変換を行います。今回は空きチャンネルということで62chとしました。



ダブルバランスドミキサ

 62chは、764~770MHzの幅を持ち中心周波数は767MHzです。地デジの中心周波数は1/7 MHzのオフセットが掛けられているので、767.142857MHzとなります。Web上で地デジの中心周波数を調べられるサイトがあるので利用させて頂きました。
 先に紹介したとおりIF信号のスペクトラムは反転しているので、周波数変換の過程でスペクトラムが反転するように局部発振器LOは逆へテロダインとなるような周波数関係にセットします。

 LO= 37.15MHz + 767.142857MHz = 804.292857MHz


チャンネルパワー

 OFDM信号は約5.7MHzもの周波数帯幅を持っているので、スペクトラムアナライザのチャンネルパワー測定機能でレベルを確認します。スペクトラム表示では、周波数帯幅の約1/100となるRBW=50kHzで観測しているので約20dB低く表示されています。



テレビで入力レベルを確認

 ビクター製のテレビですが取説にはアンテナ入力レベルの記載がありませんでした。そこでパナソニックの単体地デジチューナTU-MHD500の仕様を参考にしようと調べたところ、-75dBm(標準)~-20dBm(75Ω )ということでした。画面では62chで受信されていることがわかります。



チャンネルスキャン

 チャンネルスキャンを行うと、放送局名が表示され受信できるようになります。



放送局を変更すると受信できず

 いったん放送局を受信できている状態で、別の放送局のTS信号に変更したところです。送信チャンネルや変調パラメータは同じなのに受信できなくなってしまいます。リモコン番号に矛盾が出るからなのか、放送局を変更したときは再度チャンネルスキャンをしないと受信できません。


 続いて、OFDM変調器のセグメント毎にキャリアをオン/オフできる測定器ならではの機能を使ってみます。地デジの電波は13個のセグメントから構成されていて、中央の1セグメントはワンセグ向け、残りの12セグメントはHDTVなどの固定受信向けのサービスに使われています。試しに固定受信向けのセグメント1個をオフにしてみたところ、切替ショックもなくテレビで映像が受信できることに気がつき驚きました。さらにもう1個、合計2個のオフにしたときは、セグメントの組み合わせによって受信できる場合と受信できない場合がありました。



セグメントの組み合わせ

 上の図で、数字はセグメント番号を示しています。合計2個のセグメントをオフにしても映像が受信できる組み合わせをオレンジ色に塗ってあります。 



合計3個のセグメントをオフにしてみた

 上のスペクトラムは、ワンセグと固定受信2個のセグメントをオフにしたところです。これでもテレビでは違和感なく映像が出ています。セグメントをオフにしても何故映像が出るのか考えたのですが、固定受信の12セグメントのうち10セグメントだけで映像がみられると言うことは、まず伝送容量が83%になってもビタビ復号(符号化率3/4)とリードソロモン符号による誤り訂正で復号できたということだと思います。とはいえビットレートに余裕はないので、セグメント間インターリーブがランダムに行われている訳ではないので、セグメントの組み合わせによって影響度に差が出たのかなぁと思っています。
(・・・と説明してますが、どうもムリがあるような??)


(参考資料)

2009年11月27日金曜日

地デジ測定器を動かしてみる(3)

地デジOFDM変調器 BT-3901

 なんとケンウッド製です。同社は当該製品ごとリーダー電子に事業譲渡してしまったようですが、モデルが古く両社のWebページを検索しても一切資料が残っていません。マニュアルがありませんが幸いメニューがシンプルでわかりやすいので動作させることができました。しかし筐体が大きく、ミドルタワー型PCとほぼ同じサイズです。

 変調信号は内部の PN信号(PRBS信号; 擬似ランダムビット列)あるいは外部入力の放送TS信号を変調できます。内部のPN信号で変調をかけるときは、任意の変調パラメータを設定することができますが、外部入力の放送TS信号では変調パラメータはTMCC情報により自動設定されるので変更できなくなっています。

 OFDM信号の出力周波数(中心周波数)は37.15MHz。送信機のIF周波数。IF出力信号のスペクトラムは、放送波帯のそれとは反転しているので注意が必要。IFでの高域側が放送波帯での低域側になる。

OFDM変調器メイン画面

 外部変調の場合、変調パラメータは自動設定される。


OFDM変調器FEC設定

 各項目を"On"以外に設定すると映像が出ない。


OFDM変調器 変調設定

 出力としてOFDM信号かCW信号を選択できる。"IQ Swap"は、高周波段での内部処理でI信号とQ信号を入れ替えることができるオプション?位相が変わる?"On"にしないと映像が出ない。"Segment"で任意のセグメントを出力させるかしないかを選択できる。


OFDM変調器 システム設定1

 外部変調にするときは"TS Source"を"EXT"とする。ここでは地デジチューナとDVB-ASIインターフェースで接続しているので"TS Input"は"ASI"とする。放送TSなので"Packet Size"は"204"バイト。あれ、188バイトの表示があると言うことはMPEG2-TSでも入力できるのか?信号源がないので検証できず。
 どうもよくわからないクロック関係の設定。放送TSを接続するときはフレーム同期を取る必要があるはず。でも現実にはDVB-ASIケーブル1本だけを接続して"F SYNC"を"INT"としておくだけで映像が出てくる。
 "ISDB-T System"の項目は意味不明。"TB13"にしないと映像が出なくなる。


OFDM変調器 システム設定2

 地デジチューナでのIIPのPID(Packet ID)は0x1FF0なのに、"IIP Packet PID"は"0000"のままで映像が出る。どうして?TSパケットの、ダミーバイトに埋め込まれた情報のみを参照しているから?

2009年11月26日木曜日

地デジ測定器を動かしてみる(2)

地デジ受信機 6500A


 地デジ受信機6500Aです。マグナデザインネット製の復調ボードを内蔵しています。家庭用の受信機とは違い映像・音声出力はついておらずTS信号が出てくるだけです。付加機能としてTMCC情報の表示やBER(ビットエラーレート)が見られます。写真では、ビタビ復号前のBERが表示されていて、A階層(部分受信・ワンセグ)はエラーなし、B階層(固定受信・ハイビジョン)が1.4×10-4であることがわかります。ビタビ復号後の表示に切り替えるとA階層・B階層ともにエラー表示がゼロになります。
 "EWS FLAG"は緊急警報放送信号を受信したときに点灯するようです。"COUNT DOWN"は緊急警報放送信号が送出されるまでのカウントダウンみたいです。


TMCC情報


 TMCC信号(Transmission and Multiplexing Configuration Control)は、受信機が地デジを受信するときに必要な伝送パラメータ(変調方式やセグメント番号など)を示す信号です。地元のテレビ局のパラメータを一通り見てみましたが、すべて同じでした。MODE3, ガードインターバル比1/8で、
A階層(ワンセグ)のキャリア変調方式はQPSK, 畳み込み符号化率2/3, 時間インターリーブ長4, セグメント数1、そして最後の1は部分受信(ワンセグ)を表している?ものと想像しています。(マニュアルがないので不明)
続いてB階層のキャリア変調方式は64QAM, 畳み込み符号化率3/4, 時間インターリーブ長2, セグメント数12です。

 受信機の仕様によると出力フォーマットは204bytesパケットで、3種類のTS出力フォーマット(1.放送TS, 2.多重化TS, 3.特定階層TS)を選べますが、接続するOFDM変調器には放送TSだけしかつながらないようでした。

この放送TSについては、ARIBの標準規格STD-B31 「地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式」(概要規格書1.7版)付属書「地上デジタルテレビジョン放送の運用ガイドライン」の5章に規定があります。いくら読んでもなかなか理解できないのですが、通常のMPEG2-TSの各TSパケットのダミーバイト部分にTMCC情報等を埋め込んだり、ヌルパケットにIIP(ISDB-T Information Packet)として多重化させ、さらに地デジのフレーム構造を持たせたもの、のようです。フレーム構造を持つため、何らかのかたちで信号伝送に際してはフレーム同期を取る必要があります。
 OFDM変調器は、受け取ったTMCC情報を見て、所期の変調パラメータで変調をかけることになります。

 余談ですが、この受信機には受信したFFTサンプル周波数と同期したSYSTEMクロック出力があります。放送局の送信機の基準周波数はルビジウム発振器により制御されているはずですから、このSYSTEMクロックもルビジウムに準じた精度が期待できる、と言えます。でもFFTサンプル周波数は512/63=8.12698・・・MHzということで、そのままでは使いにくいですね。

2009年11月25日水曜日

地デジ測定器を動かしてみる(1)

 今やジャン測でも地デジ関連測定器が手に入ります。しかもこの世界進歩が早く、陳腐化してしまったためなのか安く入手できるものもあります。でもネット上で地デジ関連の中古測定器を使ってみましたという記事は殆ど目にしません。個人でこのような測定器を入手してもアマチュアTV(ヨーロッパにはDVB-Sの変調器を自作する人もいます)くらいしか使い道がないからかなと思うのですが、「技術的興味」の一環ということで動かしてみました。測定器をいじくり回すだけなので、電子工作趣味のブログとしては、無意味な記事かもしれませんが・・・。

 さて、動かしてみたと言っても入手した測定器の動作確認代わりに受信した地デジをチャンネルを変えて再変調しただけなんですが、ジャン測からちゃんと画像が出たというところに感動がありました。そして測定器取り扱いのため専門用語を調べる過程でいろいろ勉強ができたというのが私にとっての収穫です。


実験ブロック図


 実験ブロック図としては、至ってシンプルです。地デジ受信機で受信した信号を放送TS信号として取り出し、そのまま地デジの変調器で再変調をかけているだけです。