エレメントには、幅15mm 厚さ2mm 長さ1mのアルミ平板2本を接続して円形ループにします。いびつな円形になっているのはご愛敬。
まずは、インピーダンスを測ります。15MHz付近にピークがあります。
中波帯594kHzのインピーダンスは約6Ω、インダクタンスは約1.6μHです。
続いてレジスタンス成分を測ります。測定系の都合でレジスタンス成分とリアクタンス成分に大きな差があるとうまく測定できないので、直列同調コンデンサでリアクタンス成分をキャンセルしてレジスタンス成分を測ります。写真は、測定途中のもので、最終的に配線を3本並列に変えたりと試行錯誤しています。
レジスタンス成分の測定は、トリマの同調範囲の都合で周波数610kHzで行いました。グラフから約65mΩと読み取れます。ループアンテナのインピーダンスは、65mΩ + j6Ωということになります。ただこの測定値は、測定器の誤差はもちろん接続ケーブルの抵抗、コンデンサのESR、エレメント~ケーブル間の接触抵抗を含んでいます。特にアルミは、表面に酸化被膜ができることもありネジの締め具合やクリップのつまみ方で接触抵抗が大きく変動するので測定に苦労しました。
グラフからは、帯域幅が2.9kHz×2 = 5.8kHzと読み取れます。従ってループアンテナの無負荷Q = 610kHz/5.8kHz = 105 となります。
次に、同軸ケーブル外部導体によるループアンテナとゲインを比較するため、整合回路を接続します。約65mΩを50Ω近くまで変換するために変圧比3(インピーダンス変換比9)のトランスを3段重ねとしています。
ただここで着目すべきは、帯域幅と無負荷Qの変化です。2段目は帯域幅7.2kHz(無負荷Q=83)、3段目は帯域幅9.2kHz(無負荷Q=65)とトランスを通る毎にQが低下しており、トランスでロスが発生していることがわかります。
さて、いよいよ同軸ケーブル外部導体によるループアンテナと受信電圧を比較してみます。594kHzの受信電圧はアルミ平板56.6dBμVで同軸ケーブル59.5dBμVより約3dB低くなりました。また、両者でノイズレベルが大きく違いますが、アルミ平板だからノイズが大きいとかそんなはずもないので、測定時にぶら下げたベランダの吊り下げ金具からノイズが流入したと推測しています。(吊り下げ金具は建物の鉄筋と導通しているため)
アルミ平板によるループアンテナ
同軸ケーブル外部導体によるループアンテナ
最後に考察です。
ループアンテナの出力電圧を、アルミ平板1回巻の起電力に対する差分として計算してみます。
(1)同軸ケーブル外皮によるループアンテナ
諸元:直径55cm、巻数6回、整合回路: 変圧比1:3のトランス2段、出力インピーダンス88Ω
ループアンテナの起電力は直径の2乗に比例するので、同軸は(55/60)^2 = 0.84倍。巻数に比例するので6倍、さらにトランス2段で9倍に昇圧されます。出力インピーダンス88Ωに50Ω負荷を接続するので負荷電圧は50/(88+50)=0.36倍。従って、0.84×6×9×0.36=16.3となります
(2)アルミ平板によるループアンテナ
諸元:直径60cm、巻数1回、整合回路 変圧比1:3のトランス3段、出力インピーダンス65Ω
この1回巻ループを基準と考えると、トランス3段で27倍に昇圧されます。出力インピーダンス65Ωに50Ω負荷を接続するので負荷電圧は50/(65+50)=0.43倍。従って、27×0.43=11.61となります。
(1)(2)の負荷電圧を比較すると、20 log(16.3/11.61) = 2.9dB と、実測値と同じになりました。
2012.4.13 計算に間違いがあったので修正しました
・アルミ平板(幅15mm 厚み2mm)は、同軸ケーブル(5D-2V)外皮より
レジスタンス成分が低く、同じ受信電圧をより少ない巻数で得ることができる
・アルミ平板は、接触抵抗が安定しないため、接続部分を機械的にガッシリ作るなど工夫が必要。特に中波帯など低い周波数では、短波帯と比較して接触抵抗値が相対的に大きくなるかもしれません。
(注)アルミ製ループアンテナをお使いの方から、5年の経年後でもDCR測定値に問題がなかったとの報告が寄せられました。
当方の試作では、エレメントから接続ケーブルを引き出すためのたまごラグを、2つのアルミ平板端点でねじ1本で共締めしていました。このねじの締め具合で594kHzで10~50mΩ程度の変動がありました。たまごラグの接続には専用のねじで固定すると良いのかもしれません。実際にアマチュア無線用にアルミ製ループアンテナが市販されれています。(2012.4.13)
・低いインピーダンスを扱う整合回路はロスが出やすい。
・直径60センチ 1回巻のループは、中波帯で使用するにはインダクタンスが小さすぎて同調コンデンサの容量が大きくなり使いづらい。整合部とループを接続するケーブルの長さを数センチ変えるだけで同調点がずれます。
又、厚かましいですが、通販部品で「コア」の販売店が
返信削除高価(2000円以上)かそれ以外ですと無くどこで購入されたのかお教え下さい。余り大きいものが設置出来ませんので(大きく有名なのはLOOP6やXですが1mのデルタ
は苦情が出ますので・・ループアンテナも食器入れの
小物入れと言うかそうめんの箱を利用が限度の大きさですが、この位だと夜にこっそりと設置出来ますし・・・)お教え下さい。又50Ωのケーブルが良いのでしょうか?ラジカセでMW,FM入力端子が有るので
整合性を懸念しています。
コアは千石電商かマルツ電波で買った気がします。通販でも1個から買えます。
返信削除http://www.sengoku.co.jp/index.php
屋外ではよく聞こえるのでしょうか?ローカル局を聞くだけなら、小さな箱にバーアンテナを入れてブースター
をつける程度で良かったのでは、と今になっては感じています。
ケーブルは、波長に対して十分短かければ不整合の影響は問題にならないでしょう。
10m程度なら50Ω/75Ω等どんな同軸ケーブルでも良いと思います。それにラジカセの入力端子は50Ωではないかもしれません。
ご返事大変遅くなりました。体調不良も有りましたので・。その間、色々見てみるとバリキャップを使った物
削除http://www.geocities.jp/jl7aia/smallloop
(余談ですが、ヤフオクで千葉から出品している人のループアンテナが電子同調式と言うので良く落札されています。
http://page9.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/k164713060 )
野外にアンテナを出せば夜間で有れば「ニッポン放送」は聞けますが感度不足も有り出来るだけプリアンプを使わない
(と言っても市販品は無いに等しく、又、Trも製造していない物ばかりで・・)方法を見て貴殿のHPを知った次第です。
ちなみにラジカセの入力端子ですが『俗に言うおまけの小型ループアンテナ=一例 http://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/177477839 と同じです。
それならば、これからは冬季になるのでシーズンインですが、夏季は(受信する時間帯が3時~5時)夜明けが早いので
4時台になると電磁層が弱くなるので・。
コアですが・。その後、千石と共立(デジット)で見つけましたが・。種類は50-(詳細は失念)しか有りませんでしたし
値段も400円台と二の足を踏んで1個だけ買いましたが・・。rajikoでも良いのですが、遠距離であると野外ですし
当方、大阪ですが、通常でも「KBS京都」は聞こえますが・rajikoでは「エリア外で受信出来ない」状況。
となると、千葉の人の様に本格的なループアンテナが注目されるのかなと思っています。
大阪にお住まいでしたか。それでは、千石の通販を利用されるのが早道と思います。
削除ただ、しばらく自作ループを使ってきて、季節によって同調がずれてしまうことに気がつきました。可変同調ならツマミを回せば良いところ、私の場合は一苦労です。