2009年11月3日火曜日

はんだごての温度

最近の工作では、リード線付きの部品より細か~い表面実装部品を使う機会が増えてます。
なんと言っても表面実装部品は安くて小さくて高性能ということなしです。そんなわけで、使う部品に合わせて工具もそれなりのものが必要になってきます。

最初に考えるのは、はんだごて。
15Wくらいのはんだごてに半月型のこて先を組み合わせて使ってきましたが、大阪パーツランドのセールで割安で販売されていた鉛フリー対応デジタル温調式のはんだごてFX-951に乗り換えました。グットと迷いましたが見た目でチョイス。




ハッコーの温調式はんだごて
はんだごて接続コネクタに
DINコネクタが使われています
MIDIとオーディオ以外で初めて見た
















こて部分
小型軽量です









 このはんだごて、数十秒で暖まるなど使い勝手もよく満足しています。しかし、チップ抵抗やチップコンデンサのはんだ付けで、くすんで色になってしまいキレイにはんだが付かなかったり、つららになってしまうことがよくあり自分の腕が悪いせいだと考えてきました。でも、しかし仕上がったはんだに艶というか輝きがないのは温度設定がマズイのではと考えWebをチェック。RSコンポーネンツのページに”今さら聞けない あんな質問、こんな疑問”というところでいろいろとヒントが書いてあるのを見つけました。

 まずつららについては調べたところフラックス過多が原因のようです。そういえばフラックスを多用しています。そして仕上がりがきたないのは温度がまずいようです。それまで工場出荷時設定通り350度のままでしたが、昨今では鉛フリーはんだが一般的のため私が使っている鉛入はんだには適切ではないかもしれません。

 では、何度に設定すればよいのか。Webで調べましたが探し方がわるいのか具体的な設定値を見つけることができません。まあ趣味だから実験的に決めるというのもやり方のひとつですが、きっと原理原則があるはずです。そこでハッコーのカスタマサポートに問い合わせてみました。するとすぐに丁寧な返事が返ってきました。この場をお借りしてお礼を申し上げます。

秘密でもないでしょうから紹介しますが、要旨としては次の通りです。

一般的にはんだ付け時の最適温度は、
 ①はんだの融点 + 50℃ = はんだ付け部の最適温度
   (最近では + 10℃~部品の耐熱温度ともいわれています)
 ②はんだ付け部の最適温度 + 100℃ = はんだこての最適温度


これらの条件から、設定温度を検討することにします。
まず、はんだの融点をWeb等で調べます。温度プロファイルとも呼ぶようです。




手持ちのはんだ
(左)ホーザン H-714
(右)グットの銀入はんだ SE-2AG08











  • ホーザン鉛入はんだ H-714は、固相温度183度/液相温度190度
  • グット銀入はんだ SE-2AG08は、固相温度178度/液相温度211度(実物には融点194度と表示があるが??)
  • (参考)ホーザン鉛フリーはんだ HS-342は、固相温度217度/液相温度226度
いずれも融点とは、書いてありません。

 固相温度とははんだの溶け始めの温度で、液相温度は完全に溶ける温度ということのようで、両者の中間の温度では固体と液体の両方が存在しているそうです。この温度差が大きいと、固化するときにミクロに見れば組成が一様にならずよろしくないということで、両者を一致させた「共晶はんだ」というものがあるということです。

 ところで銀入りはんだは、銀メッキや銀電極部分に使用するためのはんだだということです。一般のはんだで銀メッキ部分にはんだを行うと、経年変化でマイグレーション(銀移行現象)が発生し、当該部分が脆くなり、はんだの信頼性が著しく低下するそうです。さらに一般的な部品ではんだメッキ部分に銀入りはんだを使うと害があるとも・・・、メーカでははんだごてを使い分けているそうです。今まで仕上がりが輝いてキレイだという理由で銀入はんだを使ってきましたが、驚きました。

 さて本題に戻し、ハッコー社の回答によるとはんだごての設定温度は融点+150度ということでしたが、ここでいう融点として、グットの表示のように固相温度と液相温度の中間と考えてみます。
ホーザン鉛入はんだH-714は337度、グットの銀入はんだは344度、ホーザン鉛フリーはんだは372度となります。ただ融点+150度という程度の概算ですから10度単位くらいで合わせておけばよいのかなと思います。

1 件のコメント:

  1. 鉛フリーのハンダで370度はやはり高すぎます。ですが、棒区の使っている千住金属の鉛フリーハンダでは340度付近が一番良好で比較的仕上がりは良い方なんですが、鉛のハンダに比べると仕上がった状態でぱっと見た目の艶は少ないです。一見艶が少なくて少しくすんだ感じはしますが、拡大鏡で見ると、きちんとハンダが廻っていますので、いわゆる鉛ハンダの濡れというのとは違うんだと思います。

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