ループアンテナのアンテナファクタ
これまでの検討で、受信電力の簡易予測式を導きましたがアンテナファクタのほうが実践的ですので、これで検討を進めます。
本来のアンテナファクタ値は、アンテナの利得、整合回路損失、不整合による損失、測定ケーブルの損失など諸々含めての係数値です。今回の検討ではループアンテナの形状を選定するために潜在的(理論的)な能力比較を行うため、ループアンテナそのものに着目し、かつ無損失で整合できると仮定した場合のものですから本来の”アンテナファクタ”とは異なることに注意して下さい。
受信電力と電界強度の関係は次の通りです。但し、受信電力P、比例定数k、電界強度E、(終端)負荷電圧V、負荷抵抗R。
次に、アンテナファクタAFは電界強度を受信電圧で割った値です。
上式の対数を取ると次のようになります。
電界強度と負荷電圧値の関係は負荷抵抗が50Ωのとき次の通りです。但し、電界強度E [dBμV/m]、終端受信電圧V [dBm]、アンテナファクタAF [dB]。
アンテナファクタの試算
ループアンテナエレメントの線種を変えたときのアンテナファクタを試算してみました。試算では、屋外アンテナを想定して直径50センチとしています。アンテナファクタは、数値が小さいかマイナスの方がより高い受信電力が得られます。
この結果を見ると、当初試作をした3C-2VS同軸ケーブルの芯線を使ったもののアンテナファクタは0.6MHzで31.2dBと思わしくないことがわかります。幅広のアルミ平板では、少ない巻き数で良い結果が得られることが期待できるものの実際に作るとなると構造的に一工夫必要です。
今回の試算は、細い電線で巻き数を増やすより、少ない巻き数の幅広銅板のほうが良いものを作れる可能性があるのでは?という発想から始まりました。幅広銅板(幅5センチ・2回巻)は、8D-2V(2回巻)より4dB弱優れていますが、作りやすさやコスト面を考えると、月並みですが5Cや8Dクラスの同軸ケーブル外皮を使うのが現実的になのかなと思っています。
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