2017年12月23日土曜日

高速DAC基板の出力スペクトラム測定、旧いスペアナの位相雑音特性がよい理由とは

以前のFMトランスミッタのポーティング作業が捗ったことに気をよくして、関心は別のプロジェクトに移っています。そこでAD9717を使った基板のデータが散逸する前に纏めておくことにします。わずか1ヶ月前のことなのに、どういう測定データだったっけ?と思い出しながらの作業になりました。

まずは、中心周波数10MHzでFMステレオのパイロット信号のみでFM変調を掛けたところです。それらしい波形ですが、キャリアの裾野がノイズっぽく見えます。


前作の波形と比較すると一目瞭然です。上の波形はRBW 30Hzまで絞り込んでいますがまったく追いつけていません。ひょっとしてノイズが乗りまくっているのでは??


それではDDSで10MHzのCW信号をつくり、位相雑音測定機能でダメっぷりを確認してみます。



DDSクロック信号77.824MHzは、セイコーエプソンのSPXO SG-210STF 12.228MHzとSi5338で生成しています。SPXOの位相雑音は良いはずなのでSi5338の性能に制約を受けているのか?それにしても期待より10dBほど悪く見えるから実装の問題、それとも測定系の限界なのか?疑心暗鬼が続きます。

そこで、位相雑音が低そうな他の信号と比較して基板が悪いのか、それとも測定系の限界なのかを切り分けることにしました。
次の波形は、ルビジウム発振器LPRO-101です。100kHzまでの範囲ではDDS出力と概ね同じです。他にも高品質そうなSPXOとも比較しましたが同じ傾向です。ということは、この波形は測定系の特性を見ているようなものだ、ということが推測できます。



ただ、前作(WCA230A)より今回(MS2691A)の測定器スペックが良いはずなのに測定結果は逆転しています。それを測定器の限界だと結論付けるのは納得がいきません。
WCA230仕様:  -105dBc/Hz @100kHzオフセット(中心周波数1.5GHz)
MS2691A仕様: -116dBc/Hz @100kHzオフセット(中心周波数2GHz)
・・・と1ヶ月を経て記事を纏めていたらその理由に気がつきました。WCA230では、20MHz以下の周波数帯ではベースバンド入力モードに切り替わり周波数変換機を迂回してA/D変換器に直結測定できていたから素晴らしい特性で測定できていたわけです。一方、MS2691Aは周波数変換器を1段通してからA/D変換することになるのでその点では不利になります。

出典:WCA230A Service Manual

出典:MS2691A個別カタログ

WCA230Aを手放してしまった今となっては実機で検証できませんが、ベースバンド測定ができるAPB-1APB-3を使えばMS2691Aを凌駕する測定ができるのでは?という気がしてきました。

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