2012年3月22日木曜日

中波受信用ループアンテナ その18(整合回路)

お断り
ループアンテナ単体の抵抗成分を実測したところ、想定値の20倍である1Ωもありました。同軸ケーブル外皮の高周波抵抗値が同じ太さの銅パイプと同じと想定していましたが、それが正しくなかったためなのかなと思います。以下の記事は、それに気付く前に書いた物ですが、この当時自分が考えていたことのメモとして残しておきます。



ループアンテナの単体特性

製作中のループアンテナの特性を示します。インダクタンスのみ実測値でその他は計算値で、インピーダンスは0.6MHzで0.020Ω+j168Ω、0.8MHzで0.023Ω+j244Ωとなります。



整合回路 




フロートバラン

これは、ループアンテナエレメントと負荷側の回路とのコモンモードに対するアイソレーションを確保するのに挿入するものです。負荷側のインピーダンスとは、整合回路・受信ケーブル・受信機をまとめて見たときの対地インピーダンスと考えていますが、測定のしようがありません。仮に、勘で数100Ω程度としますと、フロートバランでは一桁大きいkΩ台のリアクタンスが欲しいところです。

たとえば、600kHzで1kΩのリアクタンスを確保するには、FT-50-#75に10回巻く必要があります。ここで問題となるのが、巻線の抵抗成分です。巻線の長さは概算で25cm×2本=50cmより、直径1mmのUEWで31.5mΩもあります。これでは、ループアンテナエレメントの抵抗成分20mΩよりも大きいです。気分的には、ループアンテナエレメントと整合回路の間に挿入したいところですが、これでは整合回路の出力側に入れたほうが良さそうです。



コンデンサの選定

ループアンテナのリアクタンス成分をキャンセルするため、直列にコンデンサを挿入します。600kHzに同調するには1600pF、800kHzは800pFです。このコンデンサは等価直列抵抗ESRが低くないと損失が発生します。コンデンサの仕様書には、ESRの代わりにtanδが記載されています。
ESRとtanδの関係は、インダクタンス成分が無視できる周波数領域のとき次の通りです。但し、Xcはコンデンサのリアクタンスです。


例えば、村田製作所のラジアルリード積層セラミックコンデンサのtanδは、温度補償用で30pF以上でQ≧1000とあります。コンデンサのQはtanδの逆数なので、tanδ≦0.001です。ただこの規定周波数は1kHzなので周波数が上がるにつれて特性が下がっていくことが想定されます。


村田製作所のデータシートから抜粋


もうひとつ、高周波で性能が良いと有名なマイカコンデンサの例を調べてみました。こちらは、tanδ(誘電正接)の周波数特性まで掲載されています。1000pFなら、1MHzで0.01%と積層セラミックコンデンサより1桁良いです。


双信電機のデータシートから抜粋

この特性を見ると、マイカコンデンサしか選べませんね。それでも、168Ωのリアクタンスを持たせるときのESR値は、0.0001×168Ω=16.8mΩ、ループアンテナの抵抗成分20mΩに匹敵するのでロスが出ます。


インピーダンス変換トランス

トロイダルコアを使ったトランスですが、何回巻けばよいのか調べてみました。文献によると、使用最低周波数でのコイルのインピーダンスの目安は次の通りということです。但し、 インピーダンス Z、一次側インピーダンスZa、二次側インピーダンスZb。



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