2020年5月12日火曜日

CYC1000 Cyclone10 LP FPGAボード

安いので目的もなく買ってしまいました。Cyclone10 LPとUSB書込器が載っています。FPGAの規模はDE0nanoと同じくらいでしょうか。製品はTrenz ElectronicのTEI0003をArrowが販売しているように見えます。公式ドキュメントはこちらにあります。



概要

  • 25K LE FPGA (Intel 10CL025YU256C8G)
  • Arrow USBプログラマ (FT2232H-56Q) ※UARTとしても使用可
  • コンフィグメモリ 16Mbit FLASH (EPCQ16SI8N)
  • 64Mbit SDRAM (W9864G6JT-6)
  • (Arduino)MKRヘッダ
  • (Digilent)PMODヘッダ
  • プッシュスイッチ2個 リセット/汎用 各1個
  • 赤色LED8個
  • 3軸加速度センサ (LIS3DH)
  • MEMSオシレータ 12MHz (DSC6011ME2A-012.0000T)


ピンアサイン

GPIOは、GPIO0-24とPmodコネクタのI/Oも含めれば33本あります。ただし、GPIO0はGPIOの入力リファレンス電圧供給用端子も兼ねていて0.1uFが並列接続されています。


Pmod端子で面食らったのが、ピン番号の配置です。よくあるヘッダピンの数え方と同じと思っていましたらドキュメントとの整合がとれず困惑しました。Digilent Pmod Interface Specificationよりピン配置を示します。

2020.5.24追記
Pmod端子は、ハーフピッチずれています。ここにヘッダピンを実装するとブレッドボードに差し込めなくなる場合がありますからご注意ください。

電源

電源入力は、ヘッダピン(J2 13pin)5Vを優先にてmicroUSBコネクタ VBUSと自動切替されます。この5VはJ2 14pinから取り出せるほか、オンボードのスイッチング電源 EP53A7HQI で降圧された3.3VがJ2 12pinに接続されています。
なおスイッチング電源の発振周波数は5MHzです。ノイズ輻射はいかに?

Lチカを試す

オンボードのArrow USBプログラマを使うためドライバをインストールします。
  • CYC1000をWindows PCに接続し、FTDI USBドライバがインストールされているか確認するため、デバイスマネージャを開きます。次のデバイスが認識されていなければD2XXドライバをインストールします。

ユニバーサル シリアル バス コントローラー
USB Serial Converter A
USB Serial Converter B 
ポート(COMとLPT)
USB Serial Port (COM ??)


無事Quartusから認識され、書き込みもできました。




LEDが眩しい。3.3V/100Ωと電流流し過ぎかもです。

2020年5月9日土曜日

SA9227 USBオーディオで384kHzハイレゾ再生

『SA9227+PCM5102A 32BIT/384KHZ USB DAC/HIFI Asynchronous Decoder』と称する中華USBオーディオ基板を動作させてみました。ebayで購入してお蔵入りしていたもので今更感がありますが、なかなか良いものです。


Windowsドライバのインストール

SA9227用のものを探してみました。Savitech SA9227 driverをインストール後に基板を接続します。コントロールパネル ⇒ サウンド ⇒ 再生タブ ⇒ HD USB Audioのプロパティでサポートされる形式 タブにてすべてのサンプルレートにチェックを入れます。



ドライバとともにBRAVO-HD Audio CPLというアプリがインストールされているはずです。アプリ上部はUSBオーディオの既定値を示しています。下部はマウスで設定でき、ビット深度は次回再生開始から有効となりますので再生するビット深度より大きくしておきます。最下部の赤字はステータス表示です。


WaveGeneからトーン信号再生

WaveGeneをASIO 384kHz 32bitとしてトーン信号を出力してみます。


ハイレゾ音源を再生

あいにく手持ちには384kHz音源がありません。フリーの波形編集ソフトウェアHi-Res Editorを使ってCD音源等を384kHzに変換します。このソフトはDSD 11.2MHz/PCM 384kHz 32bit、ファイル形式wav/dsf/dffにも対応しています。


Hi-Res EditorはASIO対応で再生も可能です。リアルタイム変換もできるようですが、当方の環境では音が途切れてしまうので、いったん384kHzにファイル変換してから再生します。


基板の回路図

入手当時、SA9227にI2S入力をできないかなと基板の回路図を書いていたようです。その後、EEPROMの設定(要NDA)が必要とわかりお蔵入りしていました。半ば想像図のはずです、そのつもりでご覧ください。なお、USBバスパワーでの基板の消費電流170mAでした。


2020年5月6日水曜日

ラズベリーパイでradikoラジオをつくる: その14 ケースに入れて完成


ケースに収納

ケースに入れて日常使いできるようになりました。手元のメモを調べましたら、2019年4月に資料集めを開始していましたので、足かけ1年での完成です。
今回は、市販のプラスチックケース使って、加工アラを目立たせにくく、かつ見栄え良く仕上げることを意識しました。まずベースとなるケースには、パネル面に段差がなく、かつ側板を取り外して加工ができるタカチのPFケースを選びました。そもそもタカチを選んだのは、有料で穴開け加工を請け負ってくれるからなのですが、後から見積もりをとったら予算オーバーとなり目論見が外れてしまいました。その後、紆余曲折あり工作名人F氏の好意に甘え、加工をお願いすることになりました。


仕上げとしてパネル全面をアクリル板で覆う設計としています。アクリル板の加工は専門会社が比較的低コストで受託してくれますから、パネルだけは製品品質を追求できます。副次的な効果として、プラスチップケースに貼り付けたシール紙やテプラを保護できますし、プラケースの加工アラを目立ちにくくできます。アクリル板の加工は、はざいや に依頼しました。Web画面で加工位置を入力すると図面まで表示される驚異の自動見積システムを備えています。(2020年5月現在、コロナ禍の影響で自動見積もりは運用中止)


ケース内部は、このような感じです。F氏の発案で秋月の50円スピーカを内蔵しています。まさに「ラジオの音」が出ます。


私は、ふだん内蔵スピーカを使用せず、外部スピーカに接続しています。スピーカ上部のハンドルはカインズホームの鋳物取手です。


さらにradikoラジオをスピーカ上部にマジックテープで固定しました。


謝辞

最後になりましたが、マルチスレッドプログラミングのヒントを頂いたb様、加工・バグ出し・操作性の向上に協力をいただいたF様・H様、そしてWeb上に有用なソフトウエアを提供してくださっている皆様に感謝を申し上げます。

2020年4月29日水曜日

ラズベリーパイでradikoラジオをつくる: その13 基板を再作成



前回作成した基板は、スイッチの高さが不揃いだったので基板を再作成しました。ついでに、当時国内版が発売されたばかりのラズパイ3A+対応とその他の改良を盛り込みました。

・プッシュスイッチをオムロンからAPEMに変更
・Raspberry Pi 3 Model A+を搭載できるようスーパーキャパシタ品の位置を変更
・ロータリエンコーダを基板取付形/スイッチ付きに変更
・チャタリング防止用のコンデンサ追加
・スーパーキャパシタのUVLO用パワースイッチを省略
・電源のオフディレイタイマー設定のジャンパピンを省略
・オーディオD/Aコンバータのミューティング回路接続を省略
・フォーンジャックの品種を変更
・試験用UART接続ピンの引き出し
・その他、細かな修正

回路図も変更になっています。



ただ1点、課題が残りました。
3台製作したうちの1台でスピーカ出力がプツプツと途切れることがありました。まるでデジタルアンプPAM8304が誤動作してシャットダウンを繰り返しているかのようです。しかもそれは基板ごとの個体差があること、USB ACアダプタの電源電圧が高めの場合に影響があることがわかっています。それでも、いろいろ手を尽くしてみたのですが、どうにもよくわかりません。仕方なく対症療法としてPAM8304を交換したり、USB ACアダプタを選別することで対応することにしました。

2020年4月26日日曜日

ラズベリーパイでradikoラジオをつくる: その12 HLS形式に対応するradiko受信スクリプト

radikoウェブサイトに『Adobe Flash サポート終了』と衝撃的なお知らせが出ていました。受信スクリプトはまさにFlash形式を使用していますので、後継となるHLS形式に否応なく移行する必要が出てきました。


HLS対応のスクリプトはWeb上でいくつか発表されています。その中でも、エリアフリー対応で単一のファイルで構成されている radish を選定しました。radish は、NHKラジオ らじる★らじるやListenRadio等で現在配信中の番組を保存するシェルスクリプトです。
まずは、radishの実行に必要なアプリをインストールします。
$ sudo apt install libxml2-utils
$ sudo apt install ffmpeg
$ sudo apt install jq

次に、GitHubからダウンロードしたスクリプトファイル radi.sh を/home/pi/radikoに置き、スクリプトの録音ルーチンを再生できるように書き替えます。(赤字部分)
# Record
if [ "${type}" = "radiko" ]; then
   ffplay \
      -nodisp -loglevel quiet \
      -headers "X-RADIKO-AUTHTOKEN:${radiko_authtoken}" \
      -i ${playlist_uri}

elif [ "${type}" = "shiburadi" ]; then
   ffplay \
      -nodisp -loglevel quiet \
      -i ${playlist_uri}

else
   ffplay \
      -nodisp -loglevel quiet \
      -i ${playlist_uri}

fi

このスクリプトの使い方は次の通りです。
radikoで地元局(この例ではTBSラジオ)を受信する場合
$ cd ~/radiko/
$ ./radi.sh -t radiko -s TBS
radikoプレミアムのログイン情報を付加するとエリアフリー受信ができます。次の例では、北海道のHBCラジオをエリア外で受信します。
$ ./radi.sh -t radiko -s HBC -i “taro@mail.jp” -p “password”
NHKらじる☆らじる にも対応しています。NHKはエリア制限が無いようで、エリア外からでも受信できました。
$ ./radi.sh -t nhk -s tokyo-r1
赤字で示した放送局IDやメディア記号は、次のコマンドで知ることができます。(radishはシンプルなのに多機能です!)
$ ./radi.sh -l
ところで、再生にmplayerを使う場合、スクリプトの実行開始から放送の聴こえ始めまで10秒程度かかりますが、ffplayでは2秒程度です。しかも音切れもなく安定しており言うことがありません。素晴らしい!

2020年4月24日金曜日

ラズベリーパイでradikoラジオをつくる: その11 Wi-Fi設定をパネル操作で行う

Wi-Fiやradikoエリアフリーなど各種の設定をパネルスイッチ操作で行えるようにしてみました。以下にサンプル画面を示します。地味な画面ながらプログラミングはとっても手間がかかりました。


Wi-Fi設定
一筋縄で行かなかったのはWi-Fiの切替でした。当初、nmcliコマンドを使おうとしましたが、思うように動いてくれないところがあり、結局 wpa_supplicant.conf の書き換えで対応しました。
処理の流れとしては、1アクセスポイント探索、2接続先を選択、3パスフレーズ入力、4アクセスポイント接続とステップを踏んでいきます。

まずscanコマンドでアクセスポイント探索を開始します
$ sudo wpa_cli -i wlan0 scan
そして結果が得られるまで scan_resultsがOKを返すのを待ちます。Raspberry Pi 3A+で5秒ほどかかります。
$ sudo wpa_cli -i wlan0 scan_results

scan結果を画面に表示させたところです。現在接続中のアクセスポイントを赤字で表しています。さらに、近隣のアクセスポイントも表示され、なかなか興味深いです。

接続したいアクセスポイントにカーソルを合わせて選択すると、Wi-Fiパスワードの入力画面を表示します。

選択したアクセスポイントとパスワードをwpa_supplicant.confに書き込み、wpa_cliコマンドにより再読込すると設定変更が反映されます。コマンド発行後、しばらくすると新たにDHCPサーバからIPアドレスが付与されインターネット通信が有効になります。
$ sudo wpa_cli -i wlan0 reconfigure
これらの設定画面により、PCに接続することなく自宅Wi-Fiや携帯テザリングなどの切り替えを自由にできるようになりました。

radiko設定
放送局プリセットは全県分を作成しました。エリア選択画面をもうけ、県別の放送局プリセットを選べます。radikoのエリアフリーのログイン情報を登録すれば、各県の放送局を自由に選んで聴くことができます。


2020年4月17日金曜日

ラズベリーパイでradikoラジオをつくる: その10 AirPlayのジャケ写画像を表示


前回記事から日にちがたってしまいました。当時困ったことを思い出しながら書き残しておきます。shairport-sync-metadata-readerで取得した楽曲情報をLCD表示を行うには、メタデータ受信とLCD表示を並列処理する必要があり、まさかの"マルチスレッドプログラミング"となりました。別スレッドで受信したメタデータをPython 2.7Queueクラスに入れ、メインプログラムで逐次それぞ取り出す処理をしました。
スレッドの起動は次のような感じです。ひとつ問題があって、手動でPythonスクリプトを起動すると期待通り動作するのに、Linuxの自動起動に組み込んだらNGという現象がありました。どうやらshairport-syncよりメタデータ受信のスレッドが先行して起動してしまっていたらしく、shairport-syncプロセス起動を待って、スレッドを起動するようにすると期待通りの動作になりました。

import threading
if get_shairport_status() == 'active':
    if threading.active_count() == 1:
        thread_1 = threading.Thread(target=airplay.read)
        thread_1.start()

ジャケ写画像の表示は、PILpillow)ライブラリのおかげで簡素に書けました。他人のライブラリを拝借しているだけでなんですが、画像が表示されるとそれなりに達成感を感じられました。スクリプトを抜粋すると、つぎのような感じです。LCDへのデータ転送がとにかく遅いので、画像に限らず描画範囲を必要最小限にするよう心がけないと、すぐレスポンスが悪くなります。

path = coverart_path + "/" + coverart_filename
im = Image.open(path)
im = im.resize((140, 140))
im = im.rotate(90)
disp.buffer.paste(im, (75, 179))
disp.set_window(x0=75, y0=170, x1=220, y1=319)
disp.display()

あと、日本語表示をするためIPAフォントをインストールし、文字コード関連の記述を追記することになります。
font2gothic = ImageFont.truetype('ipag.ttf', 18, encoding='unic')
str = airplay.artist
str = trim_str(str.decode('utf-8'), 18)
draw_rotated_text(disp.buffer, str, (109, 2), 90, font2gothic, fill=col_orange)
使用した液晶パネルの都合で、デフォルトでは文字が半回転した右詰め表示になっていまいます。所定の表示幅に合わせて文字を左詰めするいは、余ったスペースを半角スペース埋めにしようとしたところ都合のよい関数がなくて、無理矢理つくりました。等幅フォントを前提としています。

# 全角は2文字として計数し、半角n個の文字列を切り出し
    def trim_str(self, text, n):
        bytes_count = 0
        str_count = 0
        for c in text:
            if unicodedata.east_asian_width(c) in 'FWA':
                bytes_count += 2
            else:
                bytes_count += 1
            str_count +=1
            if bytes_count > n:
                str_count -= 1
                break
        if (n - bytes_count) >0:
            return text[:str_count].ljust(n + str_count - bytes_count)
        else:
            return text[:str_count]