2012年11月18日日曜日

Radio Mobileで電波伝搬シミュレーション その2(使い方)

シミュレーションしてみる

ここでは、架空のコミュニティ放送局「FMみなとみらい」を題材として、シミュレーションしてみましょう。送信所は横浜ランドマークタワー屋上、東京タワー並のロケーションで電波を出すとどうなるかを妄想してみます。
Radio Mobileは、受信場所も指定しないとシミュレーションできない仕様なので受信場所も仮に決めておきます。

送信所の諸元
・送信場所: 横浜市西区 横浜ランドマークタワー屋上
        北緯35度27分16秒 東経139度37分53秒
・送信アンテナ海抜高: 310.3m
        標高 4.3m (標高がわかるWeb地図 より)
        建物の高さ 296m
        送信アンテナポール高さ 10m
・送信周波数: 89MHz
・送信機出力: 20W (43dBm)
・送信アンテナ: ターンスタイルアンテナ 1段
・送信アンテナ利得: -1dBi
・送信偏波面: 水平偏波
・送信ケーブル: 10D-2V 15m (ケーブル損失 0.5dB)

受信場所の諸元
・受信場所: 横浜市西区 野毛山動物園
        北緯35度26分50秒 東経139度37分22秒
・送信アンテナ海抜高: 38.3m
        標高 34.3m
        受信アンテナ地上高 4m
・受信アンテナ: ダイポールアンテナ
・受信アンテナ利得: 2.15dBi
・受信偏波面: 水平偏波
・受信ケーブル: 5D-2V 10m (ケーブル損失 0.8dB)

・受信機の所要最小入力 -100dBm (S/N 30dB感度)
  ※ARIB TR-B11 FM放送評価用受信機における設計マニュアルを参考とした


Step 1
まずはMap(地図)を作成します。左端のアイコンをクリックするか、File → New networksを選ぶ。



現在の画面をクリアするか聞いてくるので はい を選ぶ。


これはデフォルトのまま、OKを選ぶ。
次に 左から8番目のアイコンをクリックするか、F8キーまたは File → Map properties を選ぶ。


Enter LAT LON or QRAをクリックすると、座標設定画面が出るので送信場所のLatitude(緯度)とLongitude(経度)をセットして OK する。



元の画面に戻り 地図の範囲(km)と画像サイズ(pixel)を指定して、Extract をクリックすると、送信場所を中心とした地形図画像が作成されます。(下図は、東京湾と相模湾です)



Step 2
Units(地点)登録をします。左から5番目のアイコンをクリックするか、File → Unit properties を選ぶ。最低2カ所を登録します。



次に、送信所と受信場所の地点設定をして行きます。Unit 1, Unit 2 ... の名称を適宜修正、Enter LAT LON or QRAをクリックして緯度経度を入れます。すると、Elevation(標高)が自動で出ますがSRTM-3のデータは精度が高くないため手入力するほうが良さそうです。
画面下のスクロールバーで地点アイコンのデザインを変えられます。




Step 3
Networks properties設定(周波数や出力など送受間の回線設定)をします。左から4番目のアイコンをクリックするか、、File → Networks properties を選ぶ。



Parameters を編集します。Net name に任意の名前を付けます。ここでは、FM MinatoMirai としました。周波数は89MHzですのでMinimum frequency、Maximum frequencyともに同じとします。Polarization 送信偏波面は、Horizontal 水平偏波を選びます。
Mode of variability は Broadcast。% of time、% of locations、% of situations は既定のまま。
Surface refractivity 大気の屈折率、Ground conductivity 大地の導電率、Relative ground permittivity 大地の比誘電率は既定のまま。
Climate は Continental temperate を選択します。


Topology は既定のまま。


Systems で、送信所と受信場所の設備仕様を登録します。system の名前は適当に決めます。
放送の場合は、送信所からしか電波を出しませんが、このソフトは、基地局と移動局間や移動局間での無線通信を想定しているため Transmit power 送信電力 と Receiver threshold 受信限界電力を指定する画面があります。Antenna type には、ターンスタイルアンテナがないので便宜上 omni.ant(無指向性)を選びました。これはもちろんカスタマイズ可能です。
エリア図は受信場所の地上高で計算しているようです。



Membership で、送信と受信場所にチェックマークを入れて、ネットワークに登録します。




Step 4
いよいよシミュレーションを行います。
アイコンをクリックするか、Tools → Radio coverage → Single polar を選びます。



Center unit に送信所、Mobile unit に受信場所、Network にStep 3で作成したネットワークを指定します。Link Direction は Center Tx - Mobile Rx。Radial range は計算する半径なので適宜設定します。Azimuth range は計算する角度範囲で、0度から360度まで0.2度ステップとしました。細かくすると時間が計算に時間がかかります。
Plot でシミュレーション結果の塗り分け、Threshold で計算結果の単位や表現範囲を指定できるので画像が見やすくなるよう適宜調節します。


Draw をクリックし、シミュレーションが終わると次のダイアログが出ます。そのまま OK を選びます。


シミュレーション結果です。東京湾は見通しなので電界強度は距離のみで決まることがわかります。


次の画像はシミュレーション結果を重ね合わせる前の地形画像です。




Step 5
ファイルの保存方法は次の通り。Networks の保存は、File → Save Networks。作成した map データの保存は、File → Save map as。シミュレーション結果画像の保存は、File → Save picture as。


次は、地図との重ね合わせを考えてみましょう。



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